「サイボウズは、古いしダサイし格好悪い」。
大槻幸夫は、自社のイメージについてネットサービスの先進ユーザーにたずねた調査で、現実を知った。
1997年にグループウェアの提供を開始したサイボウズは、“固い(保守的な)”文化をもつ企業が多いIT業界のなかで、奇抜な広告をつくって注目をさらった。知名度を一気に高めて、国内市場でシェアトップの座を獲得。新進気鋭のITベンチャーは、あっという間に大手競合を呑み込んだ。サイボウズはグループウェア市場でサクセスストーリーの主役を演じていた。
しかし、今は違う。実績と、ユーザーの操作性を考慮して、あえて変えないようにしているユーザーインターフェースが古臭いイメージを与え、「イケてない」と一部のユーザーに受け取られた。
05年にサイボウズに入社し、大胆なクリエイティブを制作して、ブランドの確立に努力してきた大槻にとっては、「薄々感じてはいたがショックだった」。だが、「今が転換期であることはわかっている」。サイボウズはこの秋、クラウドの新サービスを発表する。主力製品の新版もリリースする。従来のイメージを劇的に変えるプロモーションで、これらの新サービスを訴える。それを指揮するのが大槻だ。
大槻は大学を卒業してすぐに起業。「規模の大きい会社で仕事をしたい」と、サイボウズに移った。「40歳になったらまた起業する」と、入社当時は思っていた。しかし今は「ずっとサイボウズかな」と話す。「ユーモアがあって、社員は顧客に誠実。この会社のそんな文化が好き」。独立の意思は消えた。秋の新施策は「自分にとって最も大きな仕事になる」。(文中敬称略)
プロフィール
大槻 幸夫
(おおつき ゆきお)1975年、東京都生まれ。00年、中央大学法学部卒業。同年に災害情報提供などのレスキューナウ・ドット・ネット(現・レスキューナウ)を、市川啓一氏(現・レスキューナウ最高顧問)とともに設立。05年、サイボウズに移籍。一貫してマーケティング関連部門に所属し、現職に至る。