コンサルタントの最強の武器は洞察力だ。インタビューを通じて信頼関係を築き、相手が抱えている課題を細かく聞き出す。そして、納得を得られるソリューションを提案──。日立グループSIerのニッセイコムでコンサルティングに携わっている高山直子は、前職が航空会社のキャビンアテンダント(CA、客室乗務員)という異色の経歴をもっている。
大学を卒業して、大手航空会社の国際線でCAの業務に就いた。「現場の仕事だから、お客様と積極的に言葉を交わし、サービスについての意見を生の声で聞くことに努めた」。この仕事を通じて、乗客が何を望んでいるかを洞察する能力を自然と身につけ、会社の経営改善に関心をもつようになった。行動力が旺盛な高山は、多忙な時間を縫って中小企業診断士の資格取得にチャレンジし、合格した。しかし、保守的な風土の航空会社では、上司がCAからの改善提案を軽くみて、なかなか耳を傾けてくれない。せっかく鍛えたスキルを生かす場がない。悩んだ末に退職を決断し、コンサルタントの道を歩むことにしたのだ。
ニッセイコムでは、高山は大手の産業機器メーカーを相手に、開発体制や部門間連携を改善するプロジェクトを担当。現在は、各部門の担当者から課題をヒアリングする段階だ。高山は、課題をITシステムの活用によっていかに解決できるかをはじめ、営業活動の効率化についても提案するなど、広い視点から改善策を検討している。あるメーカーは、「ITの会社がこんな提案までしてくれるとは思わなかった。会社の課題を一緒に考えてくれるので、安心して任せることができる」と、高山を高く評価している。(文中敬称略)
プロフィール
高山 直子
高山 直子(たかやま なおこ)
兵庫県生まれ。大学卒業後、国内大手航空会社に入社し、その後、中小企業診断士の資格取得を機にコンサルティング会社に転職。業務改革を中心としたコンサルティング事業や教育事業に従事した後、2011年4月、ニッセイコムに入社。現在に至る。