長野県長野市南県町に、世界を視野に入れるホスティング事業者がいる。全国に拠点をもつベンダー10社を販社として確保し、ユーザー企業2万社を抱える「使えるねっと」だ。
社長CEOのジェイソン・フリッシュは、15歳のときに交換留学生として来日。1年間生活して、日本の文化に触れるうちに「ここで働きたい」との思いが募ったという。何のつてもなかったが、大学卒業後に来日して就職活動。金融機関向けのソフトを開発するベンダーに就職した。以来、日本で生活する。
独立心の強さから、会社に勤めながらレンタルサーバー業を始めた。起業家精神は、両親の教育の賜物。「幼い頃から『食っていくためには自分で稼げ』と教わってきた」という。サイドビジネスは日を追うごとにユーザーが増え、「JMFインベストメント&テクノロジー」を設立した。
「使えるねっと」への社名変更は、「誰にでも『使えるね!』を実現する」ことをアピールしたかったから。他社よりホスティング料を安くしたが、サポートは決して手を抜かない。「安かろう・よかろう」を信条に、「システム管理者がいなくても、ITを電気のように気軽に使える環境をつくる」と志は高い。
長野県に本社を構えるのは、「妻の実家がたまたま長野県だから」と笑う。品質を落とさずに手頃な価格で提供するには、地価の安さは大きな魅力。東京支社との往復で忙しい日々を送るフリッシュにとっては、新幹線で1時間半といった交通の便も理由の一つだ。
そして、「使えるねっと」はいま世界に羽ばたき始めた。このほど、オーストラリアのホスティング事業者を買収。今後はインドネシアを中心に、東南アジアへの進出も狙っている。(文中敬称略)
プロフィール
ジェイソン・フリッシュ
JASON FRISCH(ジェイソン・フリッシュ)
1976年6月生まれ。オーストラリア・ロックハンプトン市出身。98年に来日し、金融系ソフト会社に入社。02年4月、JMFインベストメント&テクノロジーを設立。07年、「使えるねっと」に社名を変更し、現在に至る。