物腰が柔らかく、理路整然と話す。企業向けアプリケーション分野の最新動向を知るうえで頼りになる人物が、ガートナー ジャパンでリサーチディレクターを務める本好宏次だ。
大学卒業後、アクセンチュアに入社。ユーザーへのインタビューを通じて立てた仮説をもとに、限られた時間で合理的な答えを導き出す訓練を積んだ。この経験が、リサーチャーである現在も役に立っている。
アクセンチュアでは、企業が抱える課題にメスを入れる“外科医”を心がけ、ガートナーに転じてからはユーザーのさまざまな悩みに耳を傾ける“問診医”のような役割を果たすようになった。マクロな視点で物事を俯瞰し、IT業界やユーザー企業にインパクトのある提言をし続けている。
学生時代の第一志望は、ジャーナリスト。「文章を書いたり、調べたことを周囲に教えたりすることが好きだった」。だが、就職の面接ではことごとく落とされた。「たぶん、自分には合っていなかったのだと思う」。研究者の道も考えたが、断念。IT・コンサルティング業界に志望を切り替えたのは、ほとんどの企業が募集を終えた後だった。アクセンチュアに入社してからは、「無我夢中だった」。
大規模なプライベートイベントの講演をそつなくこなしているようにみえるが、学生時代は指導教授を前にした発表でしどろもどろになることがあった。「場数が大切。今でもマイクの音声が出ない時はどうするか、資料を間違えていたらどうするか、常に突発的な事態を考えるようにしている」。洗練された印象は、たゆまぬ努力によってかたちづくられている。(文中敬称略)
プロフィール
本好 宏次
本好 宏次(もとよし こうじ)
1976年9月、神奈川県藤沢市生まれ。1999年、慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、アクセンチュア入社。2007年、ガートナー ジャパン入社。2010年9月からリサーチディレクター。ERP/SCMを中心とした企業向けアプリケーション分野における市場動向の分析をはじめ、製品選定/システム導入に関するユーザー企業向けのアドバイスを担当している。