「ウェブサービスの多くは米国発。でも、日本が技術的に劣っているとは思わない」。2010年5月、起業を決めた時、木村篤彦は世界で通用する国産ウェブサービスの開発を目指していた。
co-meeting。代表取締役CEOである木村を筆頭に、4人のメンバーで構成するITベンチャーだ。ソーシャルコミュニケーションダッシュボード「Crowy」やテキストベースのウェブ会議サービス「co-meeting」を提供している。「起業する前の段階で、何を事業にするのかについて仲間内で議論を戦わせていた。その過程で、チームワークの向上を図るための数々のコミュニケーションツールを試してみたけれど、しっくりくるものがない。結局は、喫茶店に入り浸ることになった」。
電子書籍やクラウドソーシングなどの案が浮かんでは消えていった。そうこうするうちに、自らの体験に照らして、コミュニケーションのあり方に悩んでいる人たちが多いことに気づいた。そこから、コミュニケーションをとるのに最適なツールの模索が始まった――。こんな経緯をたどって生まれた「co-meeting」は、テキストベースで実際の会話に近いコミュニケーションができるウェブサービスだ。「遠回りかもしれないが、日本からまず攻める。日系企業でグローバルに使われていけば、米国でも注目を浴びるだろう」。
前職でシステムエンジニアとして活躍していた頃、法人向け情報ポータルソフトウェア「infoScoop」の開発からプロモーション、マーケティング、海外展開まで、広範なビジネスを経験した。「企画段階から仕上げまで、すべてに関わるのが好き」で、co-meetingを設立した後は新規ビジネスの創造を楽しんでいる。(文中敬称略)
プロフィール
木村 篤彦
木村 篤彦(きむら あつひこ)
1978年3月、東京都八王子市生まれ。京都大学を卒業後、ビーコン インフォメーション テクノロジーで10年間システムエンジニア、プロダクトマネージャーなどを務め、多くの新規プロダクト開発に関わる。2011年、co-meeting設立。同年、個人で開発したウェブサービスであるマルチソーシャルメディアクライアント「Crowy」がMashup Awards 6で二つの賞を受賞。