今年に入り、米シリコンバレーの北端に位置するパロアルト市に米国法人を設立した。「米国は、マーケットというよりも学びの場。アジアで『ChatWork』を売る」。山本敏行はパロアルトに居を移し、グローバルビジネスへの挑戦を始めている。
「ChatWork」は、シンプルな機能、使い勝手を追求したクラウドベースのチャットツールだ。導入コンサルティングや難しい操作指導が不要で、中小企業でも挫折せずに使い続けられる。KDDIとの業務提携を通じて、セキュリティの強化や大規模組織でも利用できる管理機能の共同開発に取り組み、企業規模を問わず導入できる可能性が広がっている。
創業は2000年。中小企業のIT活用を支援することを目的として、EC studioを立ち上げた。「インターネットはすべての人に光を当てるもの。学生や障がい者、ビジネスマンも、同じように利用できる」。すぐれた製品、サービスを提供する中小企業に、ITの恩恵を享受してほしい。そんな思いがあった。世界中のあらゆるサービスを調査し、社内での実践で納得したものを中小企業に提供することを決めた。
創業12年目を迎えて、事業を「ChatWork」一本に絞ることを決断し、社名をChatWorkに変えた。リソースを一極集中して、創業当初の理念の実現に少しでも近づけたいという考えからだ。
山本がパロアルトに移住を決めたのはなぜか。中小企業は、これまでは国内で十分に稼げた。しかし、内需の縮小やグローバル化の進展を受けて、中小企業も内向き指向では生き残っていけない。「ChatWorkが道を拓き、成功ノウハウを公開したい」という。目標は、2013年3月までに100万人のユーザー獲得、と大きい。(文中敬称略)
プロフィール
山本 敏行(やまもと としゆき)
1979年3月21日、大阪府寝屋川市生まれ。中央大学商学部在学中に、EC studioを起業。2011年3月1日、クラウドベースのチャットツール「ChatWork」の販売を開始。2012年、ChatWorkに社名を変更。米国法人をシリコンバレー、パロアルト市に設立した。2013年3月までに、100万人のユーザー獲得を目指している。