ウェブサイト制作エンジニアの育成を手がけるインターネット・アカデミーに新卒入社して1年目、有滝貴広は大きな仕事を任された。新設部門である「国際計画推進局」のリーダーに就任し、日本本社を海外とつなげて、ビジネスのグローバル展開を立ち上げていく──。社長が有滝に命じたミッションだ。大学ではプログラミングに没頭し、「一人でシステムをつくる」のをスタンスとしていた有滝は、新しい任務を遂行するために、経済や海外情勢の本を何冊も読み、10個以上の認定資格を取得しようと猛勉強に励む。そして、「一人ではなく、仲間を大切にする組織のリーダーとして動く」ことを理念に掲げてきた。
有滝は、海外とのパイプをつくるために、一人で動ける範囲は限られているので、まず、周りの社員を巻き込もうと考えた。海外ビジネスにやり甲斐を感じ、「自分も海外に行きたい」と思って積極的に参加するような意識を醸成した。一緒に海外事業を立ち上げるメンバーを集めることによって、ここ数年、ビジネスを着々と成長させてきた。2010年の秋、ウェブ技術の標準化を進める米国の団体「W3C」に一人の社員を派遣することになった。現在は、インドにもスタッフが駐在するなど、海外への派遣を拡大し、ウェブサイト制作技術の国際交流を深めている。
有滝は今後、自社のエンジニアを海外に送るだけでなく、「世界各国のすぐれたIT技術者に日本に来てもらい、インターネット・アカデミーで学んでほしい」と考えており、3~5年後のビジョンを語る。仲間とともに新しいことに挑戦して、一緒に夢を追うという「組織」の強みを生かし、チームを率いる立場として、海外ビジネスを本格化していこうと動いている。(文中敬称略)
プロフィール
有滝 貴広
有滝 貴広(ありたき たかひろ)
1982年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、2005年4月、インターネット・アカデミーに入社。1年目で、新しい部署として「国際計画推進局」を立ち上げ、以来、同局の責任者を務める。日本の本社を海外とつなげてビジネスのグローバル展開に取り組むほか、新規事業の立ち上げに携わっている。