「私は典型的な体育会系」。海外ビジネスの営業担当責任者である山口法弘は、自身をそう分析する。
「常に“最高地点”を目指してきた。野球に没頭していた学生時代は、プロ野球選手になってMVPを獲るのが夢だった」。高校2年生の時には、夏の甲子園で3番・サードに抜擢されて優勝に貢献するという幸運に恵まれた。大学では、全日本の代表メンバーに選出された。
好事魔多し。ケガを負って、プロ野球選手になってもMVPは獲れないと悟り、ビジネスマンの道を選んだが、ここでは“最高地点”を「経営者になること」に置き換えた。野球で培った物怖じしない性格を強みにして、3年間連続でトップセールスを記録するなど、出世街道を歩んできた。そして、新製品・サービスを生み出すための新規プロジェクトのリーダーに抜擢された。3年前のことだ。
しかし、ここで再び挫折を味わうことになった。チームに上位職の人が多かったこともあって、「絶対に失敗は許されない」という重圧で円形脱毛症になるほど苦しんだ。そこで、何度も人生を見つめ直した。「どんな時に幸せを感じるのだろう。よく考えてみれば、自分が存在意義を感じるのは、お客様が『ありがとう』と感謝してくれた時だ。そうだ、世の中のためになる仕事をしてこそだ」。人生観が変わった。
現在、主に中国で固定資産管理ソリューションの市場を開拓している。具体的な目標として、プロシップの中国での上場と、「ProPlusシリーズ」の世界シェア1位の獲得を掲げる。月の3分の2は中国で活動し、上半期には、顧客が求めるものを知るために、日系企業の担当者約300人の声を聞いた。「今は、独立したいという気持ちはない。それよりも、プロシップの“チームチャイナ”が、中国でお客様に一番の貢献をすることが大事だ」。そのことを“最高地点”と定めて、山口は今日も顧客のもとへ足を運ぶ。(文中敬称略)
プロフィール
山口 法弘
山口 法弘(やまぐち のりひろ)
1977年、佐賀県生まれ。学生時代は野球部で活動した。高校2年生の時に3番・サードとして夏の甲子園に出場し、優勝を経験。大学では、全日本の代表メンバーに選出された。02年4月、プロシップに入社し、日本の上場企業に向けた固定資産管理ソリューションの提案営業に従事する。12年6月、海外営業担当の責任者となり、主に中国、東南アジア地域の市場開拓に取り組んでいる。