ヘルプデスクを運営するクリエイトラボで、目黒共剛はテクニカルサポートや営業支援業務のプロジェクトマネージャーとして現場を統括している。16人の部下を抱える目黒だが、「自分のITスキルが部下のみんなよりも秀でているとは思っていない」と謙虚だ。
目黒の強みは、鋭い洞察で周囲のスタッフの異変に気づき、チームをうまくまとめる力があることだ。ヘルプデスクは、顧客からのクレーム対応が重要な業務になるので、ストレスがたまりやすいといわれている。目黒自身、電話対応をしているときに顧客から「家に火をつけるぞ」と脅されたこともある。精神的に負担の大きい仕事だからこそ、スタッフへのフォローは欠かせない。
前職では、うつ病気味で会社を休みがちな社員がいた。目黒は、その人が抱える悩みを解決するために、毎朝電車で家まで迎えに行って、散歩をして話を聞いて、一緒に会社に行くようにしていた。目黒のモットーは、「裏切られてもいいという気持ちで、まずはその人を信じること」だという。結果的に、その社員は無事に復職することができた。「それぞれの人が100%の力を発揮できるように努めている」という目黒。数字で測れるような特別なスキルはないとしても、人の心をつかむ能力は一頭地を抜いている。
そんな目黒は、自社の社員や協力会社のメンバーに向けた、OJTを中心とする人材育成にも携わっている。そこでは、ITスキルではなく、コミュニケーションを中心に据える育成を心がけているのだという。目黒の働きが一助となって、社内では円滑なコミュニケーションを実現しており、スタッフは生き生きと働いている。この点が評価されて、クリエイトラボは2012年に「中小ITベンダー人材育成優秀賞」の特別賞を受賞した。(文中敬称略)
プロフィール
目黒 共剛
目黒 共剛(めぐろ ともよし)
1977年生まれ。大学卒業後、ADSLサービスプロバイダのサポートセンターに就職する。05年に転職し、カスタマエンジニアとしてハードウェア製品の保守サポートに携わる。06年、クリエイトラボに入社し、コールセンター業務に従事。現在は、テクニカルサポートや営業支援業務のプロジェクトマネージャーとして現場を統括している。また、社員や協力会社メンバーの育成を担当。