電算システムの田中孝二は、グーグルの検索ソリューション「Google検索アプライアンス(GSA)」を国内で最も販売した営業マンとして「Google Enterprise Japan Partner Award 2011」のセールス部門を受賞している。田中がトップ営業になることができたのは、顧客から「営業マンっぽくない」といわれる営業スタイルを確立したからだ。
「バランスを大事にすること」をモットーとする田中は、数をさばいて顧客を獲得する売り上げ至上主義ではなく、顧客と社内との対話を重要視した営業スタイルを好んでいる。「売り上げばかりを気にしていたのでは、顧客の課題を解決するという意識が薄れてしまうだけでなく、社内エンジニアに対しても無理なお願いをしてしまう。そうではなく、営業の役割は、バランスよく両者の橋渡しをすることだと思う」。
そのため、社内エンジニアと接する機会は、他の営業担当と比べて倍ほど多い。エンジニアとのやり取りによって、商品の技術的な知識を身につけてきた。だから、「技術者の経験がなくても、顧客と商談するときには、うわべだけの知識ではなく、技術者レベルで会話できる」という。だからこそ、顧客に対して「技術者のように、自社システムの抱える悩みをわかってくれる」という印象を与え、信用を勝ち取っているわけだ。
実は、こうした営業スタイルに行きついた背景には、「前職で、売り上げ至上主義的な営業戦略が合わなくて、胃潰瘍になったり、自分は何をしているのかと喫茶店にこもって悩んでいた時期があった」という反省がある。そのため田中は、最近部下に加わった「GSA」の販売メンバーには、“バランス営業”を勧めている。「今度は個人でなく、電算システムというチームでNo.1を獲得したい」と思いを馳せている。(文中敬称略)
プロフィール
田中 孝二
田中 孝二(たなか こうじ)
1973年生まれ。神奈川大学経営学部を卒業後、NEC系列のリセラーに就職し、オフコンの営業に従事した。その後、Linuxの代表的な会社に転職し、OSSの開発ツールの販売を担当。07年、電算システムに転職し、現在は主に「Google検索アプライアンス(GSA)」の営業を担当している。