「デジタルアーツを世界で一番の情報セキュリティベンダーにしたい」。米国出身のロビンソン ジェイは、熱い思いを口にする。
同社にとって、製品の品質を支えるデータベースは重要な資産だ。ロビンソンは、このデータベースの収集・管理と、海外の拠点運営を任されている。
デジタルアーツに入社したのは、「海外に進出しなければ、会社の成長はない」という社長のチャレンジ精神に惹かれてのことだ。「ゼロからモノを創ることに一番の達成感を感じる」というロビンソンにとって、海外事業の立ち上げはうってつけだった。当初、3年間で設立する予定だった欧米の海外法人をわずか1年で立ち上げた。
「小学生の頃からプログラミングを学んでいた」という技量を生かして、入社数か月で、社内で10年間ほど使っていたデータ収集システムなど、複数のデータラボ課の業務システムをすべて自前で構築した。スピード感とエンジニアとしての高い技量をあわせもつロビンソンは、会社に欠かせない宝となった。
順風満帆のようだが、外国人ならではの苦悩もある。例えば、「会議などで、まずはいろんなアイデアを出して、それから話し合って決めるという米国のスタイルで提案すると、『少しは考えてからモノを言え』と非難されることが多い。それで意見が衝突して、米国に帰りたいと思うこともある」。
それでも、決して逃げない。「自分を除いて、日本と海外との架け橋になる人材はいない」と自負している。社内からは「日本人より日本語にうるさい」といわれるほど日本に精通。名刺は米国方式でなく、日本式の「名字・名前」の順に氏名を記載しているこだわりようだ。日本が好きだからこそ、日本発のソフトを世界に広める強い意志をもっている。(文中敬称略)
プロフィール
ロビンソン ジェイ
ロビンソン ジェイ(Jay Robinson)
1979年生まれ、米国・テキサス州出身。米国の大学を卒業後、英語教師として来日。およそ6年半、英語教師として務めた後、08年に外資系IT企業へ入社。カスタマーサポートと業務アプリケーションの開発に携わった。10年、デジタルアーツに転職。現在は、製品の品質を支えるデータベース収集・管理の指揮を執りながら、海外展開の主軸を担う。日本語検定1級、漢字検定2級を取得している。