劉嘯は、日立システムズで中国事業の推進を担っている。直近では、ビジネスパートナーの上海万序計算機科技と協業して、日立システムズが開発した福祉介護事業者向け「GNEXT養老事業管理システム」を、上海市第三社会福利院へ納入。着実に実績を積み上げてきた。
中国はめまぐるしく変化し続けている。劉は、師範大学を卒業して教職に就いたものの、「外の世界をもっと知ったほうがいい」との周囲の勧めで筑波大学の修士課程に進学。2003年、日立製作所への就職を果たしたとき、劉は「これで、将来、上海に家が買える!」と思ったが、その後の上海の不動産高騰で「夢のまた夢へ」。変化の激しさを痛感している。
仕事の面でも、最初は日立から人件費の安い中国へ発注する業務が中心だったが、今では巨大市場に成長した中国の顧客に頭を下げて商品を売り込む仕事へと「180度、変わった」。さらに日中間の政治摩擦で不安定な状態が追い打ちをかけるが、それでも劉は「中国を市場と捉えたビジネスはまだ始まったばかり。未来はまだずっと先まで続く」と冷静さを失わない。
急速な都市化の進展や一人っ子政策による少子高齢化、環境問題など、今、中国はさまざまな社会問題に直面している。「社会インフラに強い日立グループだからこそ、中国で強みを存分に発揮できる」と手応えを感じている。
成長を続ける中国は、変化のスピードが速い一方、政治摩擦などの制約や規制も多く、ビジネスを軌道に乗せるまで時間がかかる。だが、劉は「相反する条件が混沌として混じり合うなかにこそビジネスチャンスが隠れている」と、腰を据えて、しかしスピード感をもってビジネスに取り組んでいこうと考えている。(文中敬称略)
プロフィール
劉 嘯
劉 嘯(Liu Xiao)
1974年、上海市生まれ。上海師範大学を卒業して、3年ほど中学校教師を務めた。その後、筑波大学の修士課程に進学。2003年、日立製作所に入社。2010年、日立システムズに転属し、現在に至る。