セキュリティ事業の強化を目指すNTTソフトウェアは、今年4月、ドキュメント管理製品「WatchDox」の投入を発表した。メールで送信するファイルの閲覧者をあらかじめ設定しておき、印刷や転送を不可にすることで、関係者以外のファイル閲覧を防ぐツールだ。メーカーの米WatchDoxとの交渉を担当し、およそ2か月という短期間で販売代理店契約の締結にこぎ着けたのは、日影しのぶ。同社で数少ない女性マネージャーの一人で、海外交渉の凄腕である。
NTTソフトウェアがWatchDoxと販売契約を結ぶのは今回が初。日影は「日本企業のニーズを明確に伝え、当社の要求を早く提示する」ことで、日本市場に不慣れなWatchDoxとの信頼関係を築き、ていねいなメール対応によって相手の心をつかんだ。現在は、「WatchDox」の本格販売に向けて、啓発活動に力を注いでいる。この10月、毎日のようにITイベントに足を運び、製造業や金融業のユーザーに対して「クラウド時代は、きちんとしたドキュメント管理が必要ですよ」と熱く訴えた。
日影は大学生の頃、米国で野生動物を保護するボランティア活動に参加した。ちょうど、マイクロソフトの「Windows 95」が盛り上がった時期だ。「これからムーブメントが始まる」とITの可能性を予感して、NTTソフトウェアに入社した。2000年頃に、ECサイト構築の製品を担当。購買履歴を踏まえて製品を勧め、当時はまだ普及していなかったレコメンデーション・エンジンを、一歩先を走ってEC事業者に提案した。「将来、あたりまえになってくる製品」をかぎ分ける勘に、日影は絶対の自信をもっている。その勘を生かして、今度は「WatchDox」を次のヒット商材に育てようとしている。(文中敬称略)
プロフィール
日影 しのぶ
日影 しのぶ(ひかげ しのぶ)
1974年生まれ、岩手県出身。1997年、大学を卒業後、NTTソフトウェアに入社。新製品の企画を担当した後、海外製品の国内展開担当として、海外メーカーとの契約交渉などに携わる。その後、技術センターやマーケティング部を経て、現在はドキュメントセキュリティ製品「WatchDox」の海外交渉や国内販売戦略の立案などを担当している。