システム開発会社であるNSDは、1969年の設立で、およそ3000人の社員を抱えている。タブレットに対応した業務改善ツールなど、サービス型商材の本格展開を目指して、昨年4月に子会社のNSDビジネスイノベーションを立ち上げた。最前線で子会社設立に携わり、経営や販売促進などの陣頭指揮を執っているのは、若手の凄腕企画マン、多湖有蔵だ。NSDのシステムエンジニア(SE)出身で、会社の将来を担う次期リーダーとして、2010年に社内選抜された。
新卒でNSDに入社。スキルを磨きながら、複数の大型開発プロジェクトを成功に導いて、「できるSE」と評価された。経営陣はそんな多湖に注目し、彼を新設した経営企画部に異動させて、全社で数人しか対象にしない研修プログラムを受けさせるなど、育成に力を注いだ。そして、昨年、NSDビジネスイノベーションが設立されることになって、多湖は経営研修で習得したことを実践に移す機会を得た。
「社内規程をつくったり、ホームページを作成したりして、急ピッチで作業を進めた」と振り返る。全体をみて、メンバーの動きを効率よくコーディネートする多湖の仕事ぶりが生きて、わずか3か月で新会社を立ち上げることができたのだ。
多湖は、販売促進も担当する。今、力を入れているのは、「会社の顔になる製品をつくる」ということである。NSDビジネスイノベーションの事業を軌道に乗せ、商材を力強く訴求することによって、任せられたリーダーのミッションを成し遂げようとしている。将来、目指すのは「もちろん、社長になること」と、意欲を燃やしている。(文中敬称略)
プロフィール
多湖 有蔵
多湖 有蔵(たご ゆうぞう)
1977年4月、北海道札幌市生まれの横浜育ち。2000年、芝浦工業大学を卒業後、日本システムディベロップメント(現NSD)に入社。開発部隊でシステムエンジニア(SE)として活躍。2010年、新設の経営企画部に配属され、ビジネスの企画・運用に携わる。13年4月、NSDビジネスイノベーションの設立とともに同社に出向し、業務を統括する。