数年前、NTTソフトウェアの開発部門に在籍していた林田剛太郎は、お客様のアテンダントとして米ラスベガスの展示会に随行した。そのとき、お客様が世界のビジネスパーソンと商談し、自社製品をアピールする様子をみて、「うらやましい」と心から思った。自分で独自のモノをつくってユーザーに売る仕事に携わりたいと考えるようになったのは、ラスベガスで受けた「衝撃」がきっかけだった。
新卒でNTTソフトウェアに入り、10年以上、受託開発の仕事を担当。お客様からいわれた仕様の通りに、数多くのシステムを構築してきた。そんな林田だが、ラスベガスから帰ってきてからは、キャリアが一転することになる。エンジニアのチームで情報共有のために使っていたグループチャットを商品化できないか──。林田はそう考え、ソリューションの発案を募集する社内ベンチャープロジェクトに思い切って応募した。役員向けプレゼンテーションでは、「グループチャットか。若い人が使うものだろう」と厳しい指摘も受けたが、セキュリティなどほかの製品との連携ができ、“提案の入り口”になることが評価されて「ぎりぎり通った」という。その後、林田は技術者やデザイナーを集めて、膝を突き合わせながら、使いやすいユーザー画面について知恵を絞り、2014年5月、ビジネス用グループチャット「TopicRoom(トピックルーム)」の発売にこぎ着けた。
現在は、「1年目の新人営業マン」として、自らがセールスの最前線に立ち、日々、販売会社などにTopicRoomを提案している。ときどき営業の厳しさやつらさも感じるが、今の仕事こそが自分がやりたいこと。「もう一つ、独自の商材をつくるのが夢」。林田の“変身”はまだまだ続く。(文中敬称略)
プロフィール
林田 剛太郎
林田 剛太郎(はやしだ ごうたろう)
1976年生まれ。2000年、大学を卒業後、NTTソフトウェアに入社。エンジニアとして、ウェブシステムやモバイルアプリケーションの開発に携わる。14年、社内ベンチャープロジェクト「TopicRoom」を立ち上げ、リーダーとして開発を束ねる。現在は、主にTopicRoomの営業を担当し、販売会社の獲得など、事業拡大に向けた取り組みを進めている。