2月上旬に移転したばかりの、Viibar(ビーバー)の真新しい本社。エントランスを入ると、ガラス張りの広いオフィスの背景に、近接している東京・白金台の「自然教育園」の豊かな緑が広がる。「下見したとき、この景色を見て、『これは絵になる』と思い、一瞬で新本社の場所をここに決めた」と、Co-FounderでCEOの上坂優太は、目を輝かせながら語る。
大学で映画制作を学んで、その後、テレビ業界などで経験を積みながら、早稲田大学でMBA(経営管理学修士)を取得。「アート(芸術)とサイエンス(科学)、クラフト(技術)のすべてを知っていることが、僕の、経営者としてのアイデンティティだ」。Viibarは、独自のプラットフォームを構築し、マーケティング用の動画を発注する側と制作する側をつなげるというビジネスモデルを展開している。この4月で設立から丸2年が経ち、航空会社や新聞社などをクライアントとして獲得し、事業を軌道に乗せつつある。「映画制作のルーツから品質にこだわり、発注側にいいクリエーターを紹介する。その一方で、ビジネスの視点も忘れずにもっているので、コストに敏感で、ムダな費用が発生しないように心がけている」と上坂。常に芸術と商売のバランスを意識して、取引先に評価され、活発に伸びている動画マーケティング市場の開拓を狙う。
Viibarを設立しようと考えたのは、代理店を介さず、動画を自由に流通できる仕組みをつくりたいと思ったことがきっかけだ。新本社の会議室には、キューブリックなど好きな映画監督の名前をつけた。経営者になった今も、上坂は、映画畑という自分の“出身”を大切にしている。(文中敬称略)
プロフィール
上坂 優太
上坂 優太(かみさか ゆうた)
静岡県浜松市出身。大学で映画制作を学んだ後、テレビ局に入社。3年間、ディレクターを務める。その後、インターネットサービス事業を手がける楽天に転職して、動画マーケティングに携わる。2013年4月、Viibarを立ち上げ、CEO(最高経営責任者)に就任。独自のプラットフォームを構築し、動画を発注する側と制作する側をつなげる事業を展開している。