「行きます!」。中国への出向話をもちかけられ、嶋田昌弘は二つ返事で答えた。コベルコシステムは、2014年8月、初の中国活動拠点として、神戸製鋼グループの神鋼商貿(上海)内にIT営業部門を設置。企画段階から事業に参画していた嶋田にとって、自身の中国行きは念願だった。課されたミッションは、中国にある約35拠点の神戸製鋼グループ企業と、日本の取引先企業の中国拠点に対するITサポートだ。
「先週も来週も広東省。毎週どこかに出張している」と、顧客の課題解決に向けて奮闘中だ。中国では、専任のIT担当者がいない企業もあって、システムに関する困りごとは多い。システムを導入したくても、製品の値段や品質、導入のスケジュールなどの判断が難しい場合がある。嶋田は、システムの調査や比較、検討、提案、導入、その後の運用までをトータルで支援。「最近は、少しずつ相談の声をかけてもらえるようになってきた」と、赴任から1年の経過を前にして手ごたえを感じている。
神鋼商貿(上海)IT営業部門の人員は、嶋田ただ一人。「自分は“会社の顔”。自らの働き方が、コベルコシステムそのものの評価になる」と、責任の重さを感じている。業務範囲は日本の頃よりも広いうえ、顧客やパートナー企業とのやり取りもすべて一人でこなさなければならない。「今は、愚直に、地道に、お客様の困りごとに対して、一つひとつ真摯に向き合っていくだけ」。肉体・精神的にハードな業務を、自身と会社が成長するための糧と捉えて邁進する。
週末は、日本に残してきた家族とのSkype連絡を欠かさない。「妻と二人の子どもの声を聴くと、それだけで来週も頑張ろうという気持ちになれる」。家族への思いは、嶋田の原動力となり、中国事業を成功へと導く。(文中敬称略)
プロフィール
嶋田 昌弘
嶋田 昌弘(しまだ まさひろ)
1977年、兵庫県生まれ。鳥取大学工学部を卒業後、2000年にコベルコシステムに入社し、主にERPシステムの導入を担当。13年より海外事業の検討部会「グローバル化検討タスク」に参画。14年8月に神鋼商貿(上海)に出向、現在に至る。