「数学が好き。なかでも証明問題が好き。国語は答えが多すぎて、わからなかった(笑)」。ITの導入では顧客の「入れてよかった」がゴールであり、そこには数学に似た感覚があるという。しかし、その境地に至るには回り道が必要だった。
「ITが好きだったわけではない。就職先が、たまたまIT業界だっただけのこと」。国産ERPベンダーのインターンシップ制度に参加して、内定を得た。本来なら、そこでIT業界に魅力を感じたというのが美しいが、「社員が楽しそう。これならやっていける」との理由で就職を決めることに。営業部の配属となるものの、会社が求める「客先へ行く理由をまず紙に落とす。それから行動する」という営業スタイルになじめなかった。いつしか、IT業界に就職した理由もわからなくなっていた。
何かを変えたいと思って転職先に選んだのは、生命保険会社。若いうちにお金のことを学んでおきたいと思ったのが理由だった。ただ、生命保険は国語の世界だった。「いろいろな商品があるが、メリットがあればデメリットもある。何を選ぶかは結局、お客さん次第。答えは一つではない」。
IT業界に戻ると、営業職として第一線で活躍する。ところが、いいサービスをもっているのに、会社はマーケティングに力を入れない。営業が頑張るだけだった。「もっとマーケティングに注力するべきだ」。その思いが強くなり、エンバカデロ・テクノロジーズに転職して、マーケティングの担当になった。転職して一年、自分で考えて行動できるようになったことで仕事が楽しいという。ただし、最近感じるのは「マーケティングには国語のように多くの答えがある」ということ。今なら国語の魅力がわかるはずだ。(文中敬称略)
プロフィール
柏原 舞子
柏原 舞子(かしわばら まいこ)
静岡県出身。早稲田大学卒業。ERPパッケージベンダー、人事給与ソリューション提供企業での営業経験などを経て、「RAD Studio」や「Delphi」といった開発ツールなどを提供するエンバカデロ・テクノロジーズに入社。現在は、主にマーケティングを担当する。ヨガにはまっていて、弓のポーズが得意。現在、“頭立ちのポーズ”に挑戦中。