ビズリーチでCTOを務めていた竹内真は、現在、企業も求職者も無料で利用できるクラウド型採用サービスの「スタンバイ」事業を率いる。竹内は自らが手がけるこの事業を、「テクノロジーと経営のかけ算」の成果だと表現する。ウェブサービスの最新技術を盛り込み、とくに地方の企業や中小・ベンチャー企業向けに自由でオープンな採用市場の創出を狙った。「ヒューマンリソースの世界はまだまだ無駄だらけで、経済合理性の観点からもナンセンス。日本人ならではのクリエイティビティに立脚し、かつ普遍的なニーズがあるITサービスで世界にインパクトを与えたいという思いをもち続けてきたが、スタンバイでその第一歩を踏み出した」と、力を込める。
もともと、「とにかく死ぬほどプログラミングをやりたかった」という動機で大手SIerに新卒で入社し、さまざまなソフトの開発に従事していた生粋のエンジニアだ。20代の頃は、並行してシンガーソングライターとしての音楽活動も行っていて、「音楽とエンジニアリングには共通点がある」というのが持論。「一定のレベル以上に達した演奏者や作詞作曲者のような高い創造性をもつエンジニアとそうでないエンジニアにやがては分かれることに30歳くらいで気がついた」という。
創造性が高いエンジニアは、自分がイメージしたITサービスが世の中になければ自分でつくりたくなるもの。「ある意味で、狂ったようにそこに打ち込む情熱の持ち主がいるからこそ社会は進化していくわけで、自分は、その一人でありたい」というように、変革者としてのモチベーションを行動力の源泉にしている。常に自分のなかで禅問答を繰り返しながら、世の中にない新しいアイデアの具現化という困難な課題に挑み続ける。(文中敬称略)
プロフィール
竹内 真
竹内 真(たけうち しん)
高知県出身。2001年、電気通信大学情報工学科を卒業後、富士ソフトABC(現・富士ソフト)に入社し、エンタープライズサービスを中心にさまざまなソフトウェアを開発。07年に富士ソフトを退職した後は、フリーエンジニアとしてリクルートの基盤フレームワーク開発などに従事。08年にビズリーチの創業に参画し、CTOとしてサービス開発を手がける。また同年、ウェブ開発・制作会社のレイハウオリを設立し、代表取締役に就任。今年8月、現職に就任。