東京・六本木の雑居ビルにある「Hackers Bar」。ここに集うハッカーが、お酒のグラス片手に来店者の「お悩み相談」に応じる。あっという間に、その場でプログラムしてアプリなどを開発してみせる。しかも、無料でだ。課題を抱える会社の人らとハッカーがマッチングできるこの場に、近藤祥子は「ハッカー」の一人として週1回通う。
「サクッと解決することに楽しさを感じる」。パソコンのキーボードにあるアルファベットの文字はいらない。手さばきは驚くほど速い。仕事人の目はしていない。少女の目をしたまま、プログラミングを楽しんでいる。
超大手外資系ITベンダーから「エバンジェリスト」の誘いを受けたことがある。そんな好待遇の誘いも、断ってしまう。同時期にHackers Barで、エクストリームデザインの社長から入社を懇願された。「スーパーコンピュータの話や役割を聞き共感した。この会社のやっていることを盗みたい」と、翌日に入社を決断した。与えられた職務は「技術秘書」。初めて聞く役割だ。
社長曰く、技術秘書は「SEなど社員の横で、課題を形にする担当」という。さっそく、クラウド会議室「ChatWork」の連携で社内申請システムをつくってみせた。その間、たった2時間。近藤の頭脳はどんな構造なのか。「泥臭い方法で解決するだけ」。考える前に、勝手に手がキーボードを叩いているようだ。子どもの頃、IT技術者の父親が持っている「BASIC」の本に読みふけるほど、技術的な素養は幼少時に身についていた。
「自由・自主性・自己責任」が信条。専門学校時代の教師からいただいた言葉だ。エクストリーム(過激)な体験が好きでよく旅をする。つねに愛機である「赤いASUS」のノートパソコンを片手に。(文中敬称略)
プロフィール
近藤 祥子
近藤 祥子(こんどう しょうこ)
1985年12月、埼玉県三郷市生まれ、30歳。2007年、COBOL技術者の父親の影響を受けたのか、東都コンピュータ専門学校に通う。卒業後に受託ソフトウェア会社に入社。派遣SEとして金融系を担当。その後、グローバルビジョンテクノロジーに移籍し、クリック証券のシステム構築などを担当。今年からエクストリームデザインに「技術秘書」として入社した。