SIerの技術者である白石康司は、客先に常駐して古いCOBOL言語のプログラムを、今風のJavaに書き換えたりする仕事に従事していた。ある日、先輩が会社の技術交流会があるからと連れて行かされた先でみたものは、技術が好きな人たちの楽しげな様子だった。
煩雑な社内の間接業務を自動化するソフトウェアや、プロジェクターを使って寝転びながらプログラムを書ける機構の開発といった若手技術者の取り組みをみて、白石には「うちにこんなおもしろい人がたくさんいたなんて!」と驚きを隠せなかった。他愛もないことなのかもしれないが、みんな技術が好きな人たちであることが十分に伝わってきた。
気がついたら白石も社内技術交流会の運営を手伝うようになり、その後、社外の人も参加できるオープンな技術交流会にも活動の領域を広げていくことになる。折しも白石自身、客先常駐のSEからR&D(研究開発)部門に異動したこともあり、ITインフラや機械学習も勉強会のテーマに採り入れた。すでに累計の参加メンバーは社内外1000人近くに達し、自由闊達な技術談義に花を咲かせている。
技術交流を通じてわかったことは、「自分は“技術が好きな人”がとことん好き」であることだ。技術も好きだが、その技術を好きな人にはもっと興味がある。技術を生みだすのが人である限り、人に引きよせられるのは自然なことなのかもしれない。「おもしろい人がたくさん集まれば、きっと職場や会社を、あるいは日本、世界をもっとおもしろくできる」と目を輝かせながら話す。(文中敬称略)
プロフィール
白石 康司
白石 康司(しらいし こうじ)
1980年、愛媛県松山市生まれ。2005年、大阪大学大学院基礎工学研究科卒業。同年、TIS入社。R&D(研究開発)部門でAI(人工知能)の技術推進を担当している。