「グローバルな環境で仕事がしたい。アフリカでも、インドでも、どこでも構わない」。入社3年目を迎えた頃、藤田愛の胸には熱い想いが芽生えていた。学生時代から海外との関わりに興味をもち、大学では中国に留学。NECに入社後は国内営業を担当し、顧客のグローバル案件を支援するなかで、海外出張の機会にも恵まれた。しかし、そこで痛感したのは、「一部をみただけでは、真の意味でグローバルビジネスを語ることはできない」ということだった。一度やると決めたら、後へ引かないのが藤田の性分。決意を固めた後は、海外赴任の熱意を上司に伝え、当時の中国総代表にも直訴した。そして、NECの中国拠点で唯一の女性駐在員となった。

実際に現地で働いて実感させられたのは、「日本以上に人とのつながりが大事だ」ということ。中国は人脈社会とあって、顧客対象の日系・非日系を問わず、人間関係がビジネスの成り行きを左右することが多い。だから、藤田は平日はほぼ、一人で食事をとらない。いつも顧客や社員と時間を共有し、顧客開拓に向けた人脈形成につなげる。「“飲み”といえば軽く聞こえるが、実はすごく大事なこと。お客様のためならどこまででもつき合う」。赴任して1年半だが、すでに中国で獲得した名刺は1000枚を超えた。
今秋、予定する赴任期間を終えることになるが、「今後もグローバルビジネスに携わりたい。新しい国・地域に行くチャンスがあれば、必ずつかみたい」と姿勢はブレない。藤田のグローバルキャリア形成は、まだ始まったばかりなのだ。「思いがあれば、何だってやれる。どんな環境でも生きていける」と自信は十分。来年、藤田はどこで活躍しているのだろうか。(文中敬称略)
プロフィール
藤田 愛
藤田 愛(ふじた あい)
滋賀県出身。2009年、大阪大学外国語学部を卒業後、NECに入社。製造・プロセス業向けの国内営業に携わる。14年11月、NEC信息系統(中国)上海分公司に出向。現在は主に日系製造業向けのマーケティングや顧客開拓に従事している。趣味は旅行。中国の世界遺産48件のうち、40件ほどを制覇済み。