太平洋に面した宮崎県の木崎浜海岸。毎年、サーフィンの大会が開かれるサーフスポットとして季節を問わずサーファーが訪れる。甲斐友悠も勤務先であるデルの「宮崎カスタマーセンター」に出勤前、ここで毎朝波に乗る。「早朝は風が違う。誰よりも早く海へ行く」。気持ちのスイッチを入れるため、この習慣は欠かさない。海岸は波打ち際まで100メートルほどのさらさらした砂浜。このロケーションに惚れ込んで、車で3分ほどの海岸沿いに自宅を購入した。

毎日することがもう一つある。インサイドセールスのメンバーに対するコーチングだ。「自分なりにリーダーシップを発揮したい」と、入社歴が10年を超える甲斐は、通常業務の合間に行うコーチングを意気に感じている。そんな甲斐だが、同センターが開設した当時、地元テレビ局系の広告代理店から転職して入社したものの、「正直、仕事も楽勝。机に座ってばかりだし、面倒だな」と、あまり業務に積極的でなかったという。
一変したのは、社内の友人数人が同じタイミングで退職した頃からだ。「どうせ働くなら、この仕事を極めたい」と、本気度にスイッチが入り「管理職を目指したい。リーダーになる」と決めた。「デルのキャリア制度は、頑張れば上に行けるし、いろいろな部署にも異動できる」。水を得た魚のごとく、いや、サーフィンを極めるがごとく、この仕事の楽しさに気づき、真剣に業務に励む。マネージャーとしては「チームをデザインすることに楽しみを感じている」。
デルは昨年、パートナー戦略に舵を切った。「ビジネスの大きさに魅力を感じた」と、自ら志願しディストリビュータの担当になった。「この宮崎で、どこにも負けない組織をつくる」。同社のパートナー戦略は、顧客を支えることに情熱を傾ける甲斐のようなカスタマ担当者が下支えしている。(文中敬称略)
プロフィール
甲斐 友悠
甲斐 友悠(かい ともゆき)
1980年11月、宮崎県日向市生まれ、35歳。2004年、山口県の東亜大学デザイン学部卒業。映像やコンピュータグラフィックスを学び、ものづくりの醍醐味を知る。卒業後は、地元テレビ局系の広告代理店に入社。テレビCMなどの企画・制作を担当。1市3町の市町村合併に際しイベントや番組企画が採用されるなど活躍。06年6月、デルに入社。16年8月、パートナー事業本部のインサイドセールスマネージャーに就任。