アミット・シングは、米Meltwaterの日本オフィスで新規営業チームのトップ、マネージングディレクターを務める。昨年の就任後、早くも営業成績を前年比40%拡大させ、個人でもグローバルトップの成績を修める辣腕家だ。

「山あり谷ありで、スムーズな人生ではなかった」と述懐する。テニス好きの一家に生まれ、一時はプロを目指したが、中学3年で負ったケガを契機にテニスを離れた。大学卒業後、日本に戻りヘッドハンティングの企業に就職したものの、「自分のやりたいことではない」と退職。半年間、父親の故郷であるインドやネパールを訪ね、自分をみつめなおした。
自身の追い求める姿の根底にあったのは、尊敬する父親の存在。日本でレストランを営む父をみて「期待に応えたい」と思う反面、「(父親に)期待されているのではないか」と、プレッシャーを感じてもいた。ネパールの山で父親と朝日を見ていたとき、「自分のやりたいようにやればいい」と父に言われた。自分の勝手な思い込みであったことに気づき、気持ちが軽くなった。
「パッション溢れる社員に惹かれた」というメルトウォーターに24歳で入社し、1年半でマネージャーに。5年後にはシンガポールオフィスに赴き、マネージングディレクターとして東南アジアを統括した。「今日明日で案件が動くスピード感やコミュニケーションのフランクさがなじんだ」。そこで得た経験を、今は日本のマーケットでもぶつけるべく奮闘している。
メルトウォーターは、現在8年目。失敗もたくさん経験してきたが、「自分の心のいうことをしっかり聴いて、それをもとに動けば何とかなる」と、強く感じている。今、とくにやりがいを感じているのが、人の教育だ。自分が先頭に立つことで人を導き、人の成長につなげている。(文中敬称略)
プロフィール
アミット・シング(Ammit Singh)
1985年7月、福岡県生まれ。12歳まで日本で過ごし、その後、米国で暮らす。大学卒業前後、3年ほどテニスコーチを務めた後、日本に戻り、ヘッドハンティング企業に就職。1年ほど勤め退職。約半年間、父親の故郷であるインドやネパールを巡る。2009年、メディアモニタリングサービスを手がける米Meltwaterの日本支社に入社。現在、国内新規営業部署の責任者を務める。趣味は料理、ゴルフ。