30歳で年収1000万円を稼ぐミリオネーゼの仲間入りを果たし、この春には30代で代表取締役社長CEOに就任。華々しい経歴をもつ原田愛だが、彼女には人生を変えた二人のビジネスパーソンがいる。
一人は、「女性としても尊敬する」原田の母だ。6歳の時、父を亡くした原田を、シングルマザーとしてずっと働きながら育ててくれた。調理師の資格をとり、学校法人や福祉施設の食堂、カフェなどを複数管理する役職についた母は、自宅でも電話で部下をフォローアップしていたという。
もう一人は、社会人に成り立ての頃に出会った女性の先輩だ。「ちゃんとやっているのだから、成果は成果としてアピールしなさい」。その言葉で、成果を控えめに言っていた自分に気がつく。このことをきっかけに、「男女対等に声を上げていい」というマインドに切り替わったという。それ以来、遠慮せず、やりたいことはやりたい、成果は成果として声を上げてきた。
ソフトバンク・テクノロジーでマネジメントを任されると「こんなにおもしろい仕事はない!」と思うほどのめり込み始める。メンバー一人ひとりの個性を見極め、コミュニケーションを取りつつ、時にはムチをあてながら寄り添って進めていくと、メンバーがおもしろいようにのびのびと活躍してくれる。それが数字という結果に結びつく。部下を鼓舞し、話し合いながら進めていく姿は、自宅から部下に電話をかけていた母の姿と重なるのではないだろうか。
意外にも原田は目標に向かってがむしゃらに進むタイプではない。そのタイミング、巡り会えた機会、または時代に合わせて柔軟に変化しながら進んでいく。我を通すのではなく、しなやかに伸びていくのが原田のビジネスパーソンとしてのあり方だ。(敬称略)
プロフィール
原田 愛
(はらだ あい)
1980年、宮崎県生まれ。NECネッツエスアイ、日本オラクルを経て、2013年にソフトバンク・テクノロジーに入社。15年に同社福岡営業部長、16年に同社西日本支社長としてマネジメントに従事。17年4月、子会社のフォントワークスでソフトバンク・テクノロジーグループの女性社員としては初めてとなる代表取締役社長CEOに就任。