ウエイトリフティング(重量挙げ)の東海チャンピオン。高校時代の話である。輝かしい実績だが、堀井勇也は「たまたま」だったと謙遜する。競技を始めたのは部活の顧問に誘われたため。前向きではなかった。一度は断るというありがちなパターンから、いやいや参加した体験入部を経て、ようやく心が動いた。バーベルとの格闘が意外とおもしろかったのだ。
 
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 ウエイトリフティングの競技には、スナッチとクリーン&ジャークの二種類があるが、堀井が好きなのはバーベルをいったん肩の位置で止めるクリーン&ジャーク。スナッチよりも、重いバーベルを挙げることができるからだ。「バーベルを挙げるまでは意外と冷静で、前後に開いた足を平行にしたときに、うれしさが込み上げてくる」。その一瞬を“ジャーク感”と表現する。

 大学でも競技を続けたが、ケガに泣かされ、思うような成績を残せなかった。「関節という関節がケガを経験。膝も腰もメスを入れたことがある。無事だったのは指の関節だけで、後はボロボロ」。選手としては一線を退いたが、大学で後輩の指導にあたりながら、いまでもトレーニングを続けている。

 就職では行動力を生かしたいと考え、迷わず営業職を選んだ。「ウエイトリフティングでは、大会に向けて10から11か月の期間をかけて調整する。それでもタイミングがなかなか合わず、大会にピークをもっていくのが難しい。営業活動も同じ、とは思わないが似たところはある。長い提案期間を経て、決まるのは一瞬」。案件獲得の歓喜には、ジャーク感があるという。

 重量級の体格に実績が加わり、頼もしい存在となるも「まだまだ」と謙遜する。野望も語らず「営業部門の業績にしっかり貢献したい」と控えめな堀井は、仕事という名のバーベルが重いほど、冷静になれるのである。(敬称略)