第1子を出産し、復職する際、部署異動を申し出た。入社からシステムエンジニア(SE)として勤務していた荒井。しかし、SEは勤務時間が長く、夜遅くまで会社にいることがあたりまえのようになっている。育児と仕事の両立が難しいと判断した。そしてついたのが製品企画部だ。子育て経験のある女性が上司だったこともあり、スムーズに復職ができた。勤務時間が短くなったこと、仕事内容が変わったことに対する多少の戸惑いや焦りはあった。しかし、まわりのサポートやSEの経験を生かせる仕事を割り当ててもらったこともあり、意欲的に仕事に取り組むことができた。
その後、IBMからレノボに移籍し、第2子を妊娠したとき、仕事がとても充実していて、また将来の経済的不安が少なからずあったことから、再び育児をしながら働き続ける選択をした。その際、活用したのが、レノボグループが積極的に取り組んでいるテレワーク制度だ。
ふだんは子どもを幼稚園に送り迎えしながら、朝9時から夕方6時まで会社で勤務する。とはいえ、子どもたちはまだ小さく突然体調を崩すことも少なくない。そんな時はテレワークを利用して自宅で業務をこなす。最近は、自宅で働く荒井の姿に慣れてきた子どもたちが、電話会議で使用するヘッドセットに興味をもち、会議のたびに荒井のそばに寄ってくるという。そんな時は実家の母に来てもらい子どもたちの世話を頼んでいる。
育児と仕事の両立は楽ではない。「一緒にいる時間を削って仕事をしているので、楽しんで仕事をしたい」と荒井は言う。自宅で働く荒井の姿を子どもたちは見ている。子どもたちの目に映る働く母の姿は輝いているか――。生き生きと働きたい、それが母の目標だ。(敬称略)
プロフィール
荒井利枝
(あらい りえ)
1978年、東京都大田区生まれ。お茶ノ水女子大学理学部数学科を卒業後、2001年、IBMに入社。PC事業部門でSEの経験を経て、02年同社サーバー部門にてプリセールスを担当。14年にIBMのサーバー事業がレノボへ事業譲渡されることをきっかけにレノボへ入社。エンタープライス製品全般のビジネス開発および社内・社外向けに実施するテクニカルトレーニングなどを担当する。09年に結婚し、現在2児の母。