アプリケーション系システム開発に強い富士ソフトに、インフラ系システム開発という、もう一つの武器を新たに加えた人物がいる。ソリューション事業本部R&D部で部長を務める山本祥正だ。山本は、同社で導入しているスペシャリスト認定制度で最上位のエグゼクティブフェローでもある。
幼い頃から「パソコンいじり」が好きで、あたりまえのようにIT業界に入った。大学卒業後、富士ソフトに入社。「5000人規模の技術者がいることに惹かれた」という。入社して「尖がった社員が多い」と感じて、負けず嫌いの性格から、仕事に対するモチベーションがますます高まった。
アプリケーション系システム開発に従事し、1、2年が過ぎた頃に仮想化と出会う。まだ日本市場で仮想化が浸透していない時期だ。「物理とOSをぶった切るとは……凄い技術だ!」と魂が震えた。業務はあくまでもアプリケーション系だが、気持ちを抑えきれずに仮想化の完璧な習得を目指す。業務終了後に、朝2、3時まで勉強に励んだ。自宅に仮想化環境を構築した。VMware関連の資格試験を受けるため、自費で米国に渡った。「趣味みたいなもの」と笑う。この功績を社内が見過ごすわけはない。2008年、富士ソフトが仮想化市場に本格参入する際、関連部署に配属された。12年には、初めて「VMware vExpert Award」を受賞。以来、6年連続で認定されている。また、昨年には「Expert NSX」を受賞して世界トップ100のスペシャリストになった。さらに、日本で唯一の「vExpert vSAN」にも選ばれた。
VMwareにおいて、国内SIerのなかで右に出る者がいない存在になったわけだが、「他のメーカーも仮想化技術を駆使した製品・サービスを提供している。また、海外発という点も含めて、日本文化を生かしながら、いかに仮想化技術を変えることができるかがカギ」。まだまだ進化を遂げていく。(敬称略)
プロフィール
山本祥正
(やまもと よしまさ)
1980年、山口県宇部市生まれ。2003年、富士ソフトABC(現・富士ソフト)に入社、開発業務に従事。その後、仮想化技術の習得、提案活動、ビジネスの立ち上げなどを行い、12年にVMwareのMVP「VMware vExpert Award」を受賞。16年、VMwareのネットワーク仮想化技術の世界トップ100スペシャリストに選ばれる。世界に通じる技術者を目指し、グローバルでトップ技術者との交流やコミュニティへの参加など、積極的に実践し自己啓発に努めている。