昨年の夏、富士ゼロックスが顧客の海外進出を支援する新しいプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトの中心となっているのが中北陽子だ。中北は海外駐在経験がある。もともとアグレッシブな性格だが、この海外駐在経験により、枠にとらわれない思考を得た。
小学生ぐらいまでは臆病だったという。その後の学校生活や部活を通して成功の喜び、兆戦する楽しさを知る。顕著なのが大学に入学してから始めたラクロスだ。ラクロスはまだ新しいスポーツ。練習方法、戦術などは常に新しいものが求められる。前年の戦略も見直して打ち壊して進めていく。また、ラクロスを長年プレーしてきた選手がいなかったため、選手の特性をみるためポジションチェンジが頻繁に行われた。「自分なりのプレーをつかみかけたところで、ポジションが変わることに最初は抵抗を感じた」という。ところが、新しいポジションで自分のよさを生かせるプレーができるようになると、抵抗はわくわくに変わった。悩む前にやってみようというアクティブな考え方が生まれた。海外研修制度を利用し、シンガポールに行く時も、言葉や文化がわからないという不安よりも、新しいものに触れられるという期待が勝っていた。
シンガポールの統括会社では、カナダ人の女性の下に就いた。彼女はやりたい、やるべきだと思ったことは、部署や会社といった枠にとらわれずチャレンジするパワフルな人だった。彼女をみていて、自分がすごく狭い枠のなかに閉じこもっていたことに気がついた。「やってもいいんだ」。今回のプロジェクト、「以前の私だったら、前例がないし、私たちがやる仕事だろうかと悩んで進めなかったと思う。シンガポールでの経験があって、ここまで突っ走ることができた」と笑う。中北はこれまでの常識を超えて前進する。(敬称略)
プロフィール
中北陽子
(なかきた ようこ)
1983年5月、香川県生まれ。2006年に富士ゼロックスに入社。商業向けの大型印刷機などを扱うプロダクション事業の営業を担当する。11年に社内の海外研修制度に応募し、シンガポールのアジア・パシフィック地域における統括会社で同事業のマーケティングに携わる。帰国後も、プロダクション事業領域で顧客の海外進出支援など、グローバルな顧客基盤の活用・強化に従事。大学から海外駐在までラクロスに打ち込む。