頑張って走ればゴールできるだろう。そんな軽い気持ちで挑んだ初の東京マラソンは、制限時間内にポイントを通過できず、足切りという苦い経験をした。あれから4年。マラソンも仕事も自分なりの攻略法で挑んでいる。
マラソンの攻略法はこうだ。まずは1時間走れる体をつくる。最初は1時間も走れなかった。往路は走り、帰路は歩く、これを何度か繰り返した。20分も走ると腹が痛くなる。それを堪えて何とか1時間走りきる。そのうち、40分を過ぎた頃、気分が高揚してくることがわかった。次の段階は20kmを走ることだ。そして徐々にタイムを縮めていく。
マラソンは東京に来てから始めた。地方の営業を経験後、東京勤務になったばかりの頃は地方との市場規模の違い、とくに1案件で動く台数、金額の違いに驚いたという。大きな数字が動くなか、高橋はあえてこれまで誰も手をつけなかったリプレース時期の顧客フォローに着目する。顧客リストを作成し、訪問する。これにより顧客離れを防ぐことができ、高橋が編み出した攻略法は今では営業部に広がっている。
16年に新設した医療グループでの新規開拓でも攻略法を編み出した。医療業界の開拓はブラザーにとっても新しいチャレンジ。毎日、電話をかけては断られ、メールを送っても無視された。でもこれを乗り越えると、これまでコンタクトを取れなかったお客様を発掘できたという高揚感があった。まるで40分の地点を越えたときのようだ。
医療グループ設立から今年で3年。昨年はようやく実績が見え始めた。4年前に足切りを食らったマラソンは、完走することができた。この次は仕事もマラソンも数字との戦いになる。(敬称略)
プロフィール
高橋正明
(たかはし まさあき)
2004年にブラザー販売に入社し、中部コンシューマ営業部で量販店担当となる。06年に東北ビジネス営業部、08年に東京ビジネス営業部を経て16年4月からソリューション推進部 医療Gに所属。クリニックを中心とする医療機関に対してシステムを開発・販売する医療系SIerの新規開拓に取り組む。趣味はマラソン。