リクルート出身の両親のもとに生まれ、同社創業者の江副浩正氏によるかつての社訓「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」を家訓として胸に刻む。「両親は生き生きと楽しく仕事をしていて、株式会社の仕組みなどを幼い頃から聞いて育った」と、幼少期から経営の知識を身につけてきた。
高校1年の時、東京大学にトップ合格した先輩に勉強法の秘訣をたずね、返ってきた答えが「勉強記録ノート」をつけること。このアドバイスをもとに、「どの参考書を使い、何時間、何ページ勉強したかを記録して可視化した」。実際にこの勉強法が「役に立つ」という確信を得たことが、後に起業して生み出した学習管理プラットフォーム「Studyplus」の提供につながった。
サービスの特徴は、自身の勉強の“記録”に加え、それを学生同士で“共有”し、勉強へのモチベーションを高められることにある。「受験生だった当時から、受験仲間と勉強にはモチベーションがカギだと話していた。そうした自分の原体験を交えながらオリジナルの発想で開発したサービスだ」という。2012年の提供開始から、着実にユーザー数を伸ばし、多くの受験生から支持を集めることに成功。16年には、教育事業者向けサービスの提供も開始した。
今、教育分野でのテクノロジー活用が加速している。「今後、学習管理の重要性がより増していくとみている。われわれは学習記録データを蓄積している。こうしたデータを活用する教育ビッグデータ企業のような方向に進化させていきたい」と意気込む。「自ら機会を創り出し、という言葉は、主体的に動くことの重要性とともに、学びの本質を突いた言葉でもあると思う。会社の成長とともに、自分自身も経営者として、より一層成長していきたい」と、勉強の日々はまだまだ続く。(敬称略)
プロフィール
廣瀬高志
(ひろせ たかし)
1987年生まれ、東京都出身。桐朋高校卒業後、慶應義塾大学法学部に入学。在学中の2010年、スタディプラスを創業。学生向けの学習管理プラットフォーム「Studyplus」は、18年4月時点で総ユーザー数が300万人を超える。16年4月から、教育事業者向け学習進捗管理ツール「Studyplus for School」を提供している。