
名前を見た人からは、よく日本人と間違えられた。しかし、石麟子は生粋の中国人。日本に対して特別な思い入れはなかったが、日本とのかかわりが生まれたのは「全てが運命だった」と笑顔で語る。
幼い頃から英語を学び、将来は「欧米の大学に留学する」と思っていた。大学卒業後、留学を意識して上海の米国企業で働いていたある日、「夢の中で、神様から『あなたが行くべきところは欧米ではない』と言われた」。これがきっかけで欧米からアジアに意識が変わった。日本在住歴のある知人の話も聞き、「物は試し」と日本の大学院への進学に挑戦し、あれよあれよという間に日本行きが決まった。
「自分は挑戦が好きな性格。日本でいろいろな経験を積みたかった」。留学後に日本語を学習し、経営学修士(MBA)を取得。日本での勤務も経験した。
家庭の事情で中国に帰ることになり、やりたいことに挑戦できる社風や女性の働きやすさなどを考慮し、サイボウズ中国を就職先に選んだ。IT企業での勤務は初めてだったが、開発や販売のパートナー開拓に奮闘し、自社のイベントで司会を務めることも。「毎日が充実している。サイボウズに入って本当によかった」と思う毎日だ。
プライベートでは、居酒屋に繰り出し、好物の塩辛と白子ポン酢を肴にしてハイボールや焼酎を楽しんでいる。健康のために週2回はジムに行き、週末に夫と2歳の娘と一緒に過ごす時間も大切にしている。
今は1人の社員として働いているが、「将来は起業して、大好きな日中両国の役に立ちたい」と考えている。運命に導かれて道を切り開いてきた石は、これからも運命を大切にしながら、大きな夢に向かって走り続けるつもりだ。(敬称略)
プロフィール
石 麟子
(Linzi Shi)
1984年4月、中国江蘇省南京市生まれ。南京中医薬大学卒。米電子部品販売大手の上海拠点で勤務した後、首都大学東京で経営学修士(MBA)を取得。その後、日本国内でインバウンド事業などを手掛ける企業で勤務し、17年5月にサイボウズ中国に入社。現在は日系企業の新規顧客開拓を担当している。