●おつりが出るサービスも 
NTT Com
津田かほる
担当部長 IDCフロンティアに続く二日後、10月17日にワンクラサービスを発表したのは、NTT Comである。パブリッククラウド「Bizホスティング Cloudn」において、以前は月額900円だったプランの料金をその半分の450円に下げた。五百円玉でおつりも出るワンクラサービスだ。低価格で導入しやすくして、ユーザーのすそ野を広げることを図る。
「Bizホスティング Cloudn」は、クラウドを基盤にネットサービスを提供する中堅・中小企業(SMB)のユーザーが多い。NTT Comは、国内で数千社の利用企業を有しているが、ワンクラを商材に、さらなるユーザー拡大に動く。クラウドサービス部販売推進部門の津田かほる担当部長は、「クラウド以外にも、ネットワークやDCサービス、セキュリティなど、豊富なポートフォリオをもつことが私どもの強み。ユーザー企業を広く囲い込み、トータルで利益の創出に結びつけたい」と述べる。IDCフロンティアと同様に、ワンクラそのものではなく、ワンクラの延長線で利益を獲得するという戦略だ。

NTT Com
森田泰正
担当課長 「キャリア系の当社は、先行投資して長期的に儲けを出していくビジネスになじんでいる。だから、ワンクラ事業ですぐに利益が出なくても、違和感を覚えることはない」(津田担当部長)として、ビジネス構造に関してのNTT Comの優位性を語る。
販売活動のキーワードに掲げるのは「インバウンド」。営業担当を現場に送り出し、ていねいにサービスを提案するという方式では採算が合わないので、マーケティング施策によってユーザーを引き寄せる活動に注力している。コンテンツ配信の企業、SMB、クラウドを活用して自社製品をサービス化するソフトウェアパッケージベンダーなど、分野ごとに特典を用意するキャンペーンを打ち、営業に大きな費用をかけることなく、ユーザーを獲得することを狙う。クラウドサービス部販売推進部門の森田泰正担当課長は、「オンラインでクレジットカード払いができる仕組みも備え、簡単にサービスを購入できる環境を整えている」とアピールする。
NTT Comは、ワンクラサービスの販売活動を進めると同時に、ハイエンドでも事業のテコ入れに動く。「業務コンサルティングなど、上位レイヤでの提案力を磨き、SoftLayerとの競争に立ち向かう」(津田担当部長)と方針を述べる。
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