●技術っぽい話はしない 
GMOクラウド
石田勝彦 氏 GMOクラウドは「ミニサーバー」と名づけて、10月21日、パブリッククラウドサービス「ALTUS(アルタス)」から、月額500円のプランを投入した。価格を抑えるとともにスペックを絞り、開発者向けであるAWSに対して、「クラウド専門家がいない中小企業でも使いやすいようにしている」(技術部サービス企画室の石田勝彦氏)という。米国発のAWSは豊富な機能を揃えているが、その分、高度な技術スキルやある程度の英語力が必要になるので、中小企業にとって使いこなしにくいというデメリットがある。一方、GMOクラウドのミニサーバーは、日本語サポートを用意するなど、開発段階から「日本のお客様」のニーズを考慮してつくったものだ。
GMOクラウドは、これまでオンプレミスで動いた社内システムをクラウドに移行する中小企業が増えていると捉え、ミニサーバーに対する需要が旺盛とにらんでいる。問題は、どのように中小企業にアプローチし、サービスを売り込むかである。そこでGMOクラウドは、部署を横断するかたちで販売推進のチームを立ち上げた。営業や技術など、6人の「頭脳」を集めた特設の組織。ここで、セールスパーソンが提案の現場で拾ったお客様の声を集中管理し、作戦を練ったうえで、営業のシナリオを現場に落とす。現在、ミニサーバーにほかのサービスを組み合わせ、セットで売り込むことによって利益を高めるための“手引き”を作成しているところで、これをもとに事業拡大に動く。

GMOクラウド
石井徹也
セールスエンジニア 営業担当として販売促進チームに属しているのは、営業部セールスセクションでセールスエンジニアを務める石井徹也氏だ。「あるお客様から、『クラウド上のシステムがちゃんと動いているかどうかがわかる機能があればいい』というヒントをいただき、オプションで簡単な監視機能を追加した」とチームの活動についての実例を語る。ミニサーバーは中小企業がターゲットのため、提案の際に何よりこだわるのは、わかりやすい言葉だ。「『スペックを○○基のCPUに増やせば、こんな性能が出る』といった技術っぽい話はせず、今後、どのくらいビジネスを伸ばす計画かをたずねて、お客様のビジネス成長を見込みながら最適なリソースを提案する」(石井セールスエンジニア)と、セールストークのコツを教えてくれた。
記者の眼
「ワンクラ連合」も視野に
ほぼ同じタイミングでワンクラ事業に乗り出したIDCフロンティア、NTT Com、GMOクラウド。「せっかくなので、3社で手を組んで何かできないか」。取材の最後に、GMOクラウドの石田氏はこう話して、“ワンクラ連合”に興味を示した。後日の取材で、ほかの2社に「どうですか」とたずねたら「ぜひとも」と前向きな反応。実は、国産クラウドベンダーは競合していながらも、後方でビジネスのつながりをもつケースがある。外資系ライバルに立ち向かうために、力を合わせるのは一つの道。今後、その道を具体的にどう進めばいいかについては、知恵を絞る必要がある。新しいクラウドの世界をつくるために、ワンコインクラウドはいろいろな意味で「入り口」になりそうだ。