●GWに集中する可能性も 多くのユーザー企業が描くのは、4月以降の新年度予算でWindows Server 2003から次のOSにリプレースするということ。つまり、EOSのおよそ3か月前から動き出すことが予想される。「現状把握の棚卸、稼働テストなどを考慮すると、3か月は必要」と藤本部長は考えている。4月からリプレース作業をスタートしても間に合う計算になるが、システムによっては実務への影響を避けるために、休日を使ってリプレース作業を進めることが求められるかもしれない。その場合は、ゴールデンウィークがターゲットとなる。リプレース作業が簡単だという見通しが立てばいいが、場合によっては4月スタートではゴールデンウィークに間に合わない。そうならないために、ITベンダーとしては「まずは現状把握」ということで提案する必要があるだろう。
また、ゴールデンウィークに作業が集中することになると、人手が足りなくなる可能性が高い。新規参入を狙うITベンダーにとっては、チャンスとなる。ITベンダーは、そのための対応策を今から検討しても遅くはないだろう。
●仮想化基盤の利用は必須 Windows Server 2003のEOSは、ユーザー企業にとってのチャンスでもある。前述の通り、Windows Server 2012はITのトレンドを考慮した機能を装備しているからだ。なかでも、仮想化基盤「Hyper-V」による仮想化は必須だと藤本部長は訴える。
「今回のタイミングでクラウドにリプレースすることは難しいかもしれないが、Hyper-Vによる仮想環境上にリプレースしておけば、パブリッククラウドサービスへのリプレースが簡単に実現できる」。Hyper-VはOSの機能として提供されるので、追加のコスト負担が発生しないという点で提案しやすい。また、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」上にレプリカをつくることができるため、Hyper-Vで仮想化しておけば、クラウドを用いたBCP(事業継続計画)対策も簡単に実現できる。
なお、EOSのタイミングでは、どうしてもリプレースできないというユーザー企業には、マイクロソフトが「延長サポート」を提供する。しかしそれは、あくまでも延命措置に過ぎない。「個別契約となるので、相応の料金が発生する」と藤本部長。予算不足なのでリプレースを先延ばしするのであれば、延長サポートは本末転倒ということになりかねない。
いずれにせよ、多くのユーザー企業でWindows Server 2003からのリプレース作業が動き出す。このビジネスチャンスを逃す手はない。ただし、一過性の特需で終わらせるのではなく、将来にどう生かすかがITベンダーにとって重要な販売戦略になる。
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