パートナーからみたマイクロソフトのクラウド
ソフトバンク・テクノロジー
PaaSの質と機能を評価
開発力が差異化ポイントに

倉田淳
統括部長 Office 365の前身である「Business Productivity Online Suite(BPOS)」の提供開始に合わせて、いち早く国内での取り扱いを開始したソフトバンク・テクノロジーは、クラウド商材では、日本マイクロソフトの最初期のパートナーといえる。
3年前に外販組織を拡大し、大企業向けに特化したビジネスにシフトした。Office 365は、製造業、流通業、サービス業などを中心に、日系企業のグローバル案件なども手がけ、約40万ユーザーへの導入実績がある。倉田淳・営業統括ソリューション営業統括部統括部長は、「先行してクラウドビジネスを手がけてきたことが、アドバンテージになっている。マイクロソフトのデータセンターが国内にできたことも追い風で、金融や公共分野でのポテンシャルも高まった」と、手応えを語る。

水田篤彦
部長 Azure関連のビジネスとしては、Azure上のシステム開発はもちろん、運用監視までを含むマネージドサービスを提供している。加えて、Office 365の拡張ソリューションをはじめ、ISVとして開発・提供しているSaaSの基盤にもAzureを活用している。こうした開発力は、Office 365を提案する際の差異化ポイントにもなっている。
製品・サービスについては、「競合するクラウドサービスと比べても、Azureはサポートやデータのセキュアなもち方などの面でクオリティが高い。アプリをクラウド上で展開するために最も重要なPaaSの質や機能も然り。エンタープライズ市場を狙うためのパートナーとしてはマイクロソフトが最適だと考えている」(倉田統括部長)と評価する。水田篤彦・技術統括エンタープライズソリューション本部第1技術統括部クラウドソリューション部部長は、「日本マイクロソフトとは、案件を獲得するために必要なことをお互いに要望、実行し合いながら、苦しい時期を経て一緒に実績を重ねてきた本当の意味でのパートナー」と話す。
シーイーシー
クラウドがDynamics CRMの成長を後押し
オール・マイクロソフトでライバルに勝つ

溝道修司
事業統括部長 中堅SIerのシーイーシー(CEC)は、Azure、Office 365にDynamics CRMやERP、さらには独自のサポートサービスや業種テンプレートを組み合わせたマイクロソフト製品の総合支援サービス「Convergent」を、アライアンス事業として展開している。その中核を成すのが、CRM導入のノウハウだ。同社は、Dynamics CRMのビジネスでは国内トップレベルの実績があり、CRM部門で、「マイクロソフト パートナー オブ ザ イヤー 2015」を受賞しているほか、今年7月には、全世界でトップ60社のパートナーのみに贈られる「Inner Circle for Microsoft Dynamics」に国内パートナーで唯一認定された。2007年の製品ローンチ時から取り扱いを開始していて、すでに70社以上の導入実績がある。また、1993年から自社開発のCRMパッケージを販売している歴史もある。
溝道修司・システムインテグレーションBG事業統括部長ビジネスクラウド事業部事業部長によれば、この1年でクラウドアプリケーションであるDynamics CRM Onlineの受注が急激に増えているという。「現在は9割以上がクラウド。クラウドがDynamics CRM全体の伸びに大きく貢献している。クラウドに対するユーザーの不安感が払拭され、導入やアップデートのスピード感に対する要望のレベルが上がっているし、運用コストを下げたいというニーズも大きい」。
CECにとってDynamics CRMは看板商材になりつつあり、新規顧客獲得のためのドアノックツールとしても機能している。ただし、案件の8割で、トップシェアを誇る競合製品のSalesforceと戦わなければならず、工夫も必要な市場だ。溝道事業統括部長は、「Convergentでオール・マイクロソフトの強みをうまく訴求すること、そしてCRMに精通したSIerとしての技術力を生かし、現場のニーズにきめ細かく対応したテンプレートを提供することが重要」と、差異化ポイントをアピールする。さらに、「クラウドで勝つための戦略を一緒に考えてくれる体制が日本マイクロソフトにはある。Dynamics陣営のプレイヤーを増やして市場のパイを拡大する取り組みも進めたい」としている。
ネクストセット
Google Appsのノウハウを水平展開
アドオンの海外展開にも注力

別所貴英
代表取締役 ネクストセットは、Office 365のアドオンを開発・提供するベンダーで、すでにユーザー数は10万を超えている。実は同社は、Office 365の競合製品であるGoogle Appsの有力パートナーであるサテライトオフィスのグループ会社。サテライトオフィスが日本マイクロソフトのリクルートに応え、Office 365事業を立ち上げるために設立したという誕生の経緯がある。Google Appsの販売やアドオン開発で培ったノウハウを水平展開するかたちでOffice 365に注入し、成果を挙げた。日本マイクロソフトは、Office 365に限らず、先行する他社クラウドサービスのパートナーを積極的に自社のエコシステムに迎え入れる方針を示している。他社サービスでクラウドビジネスのノウハウを蓄積したパートナーに、自社のクラウドビジネス拡販の先導役を担ってもらうという戦略だが、ネクストセットはまさにそうした位置づけのパートナーといえよう。
別所貴英・代表取締役は、「もともとGoogle Appsでは販売しかやらないつもりだったが、お客様から要望があると、開発魂が出てきてパッケージからこぼれたニーズをこつこつ拾ってきた。Office 365とGoogle Appsは、国産のグループウェアと比べるとイベント重視である点などが似ていたし、一つのプログラムで両方のアドオンができてしまうということもあって、Google Appsの課題解決のためにつくったアドオンは、ほとんどすべてOffice 365にも注入できた」と振り返る。
成功の要因として、日本マイクロソフトのサポート体制の充実ぶりも大きかったという。「当社は技術はあっても営業力はない会社だったが、営業が得意なパートナーをマイクロソフトが紹介してくれて、パートナー同士の連携を促してくれたり、技術面でもコアな部分でわからないところがあれば積極的にミーティングを開いてくれたり、ビジネスの地ならしをていねいにしてくれた」。
グループウェアやメールはクラウド化のニーズが大きく、成長基調は続くとみる。日系企業の海外拠点向けなどを足がかりに、アドオンの多言語対応による海外展開にも力を入れていく意向だ。