中国編
最新の中国ソフトウェア業トップ100社はこれだ!
クラウドなど最先端業務が伸長
中国IT産業の勢力図は、工業和信息化部(工信部)が公表している「中国ソフトウェア業務売上高トップ100社」から読み取ることができる。これは、総合ITベンダー、SIer、ISV、ユーザー系情報システム子会社など、中国国内でソフトウェア・情報技術サービス業に従事する企業の決算書をもとに、ソフトウェア業務の年間売上高だけを抽出してランキング化したものだ。外資系IT企業は対象外となる。ここでは、2014年度(14年12月期)の業績を反映した最新の15年版を紹介する。(取材・文/上海支局 真鍋武)
●1位は14年連続でファーウェイ 15年版のトップ100社には、ソフトウェア業務の年間売上高10.5億円以上の企業がランクインしている。100社を合計したソフトウェアの業務売上高は、前年比10.2%増の5311億元。これは、業界全体の14.3%を占める数字だ。
1位は、華為技術(ファーウェイ)が初回調査から14年連続で獲得した。ソフトウェア業務の年間売上高は1481億7073万元だった。同社は、通信事業者向け事業をビジネスの根幹に据えつつ、近年は法人向け事業に注力し、クラウドOS「FusionSphere」など自社開発のソフトウェア製品を提供。19年度までに、法人向け事業の売上高を100億米ドルに拡大する目標を掲げている。
2位には、海爾集団(ハイアール)がランクイン。ソフトウェア業務の年間売上高は408億220万元で、昨年から順位を一つ上げた。同社は、洗濯機など白物家電のイメージが強いが、グローバルで自社ブランドのPCなど、IT製品も提供。自社グループ製品向けの組み込みソフトウェア開発でも大規模な人員を抱えている。
3位は、ソフトウェア業務年間売上高400億4552万元の中
興通訊(ZTE)が獲得。ルータやスイッチなどネットワーク機器を強みとする同社は、近年ではスマートシティ関連のプロジェクトに積極的に参画しており、すでにグローバルの40か国・地域で、約140都市のスマートシティ建設に携わっている。海外展開にあたっては、各国のITベンダーとの協業を進めており、14年12月時点で500社超のパートナーを獲得している。
●各社、最先端業務を採り入れる 15年版のトップ100社からは、最先端のソフトウェア業務に力を注ぐ傾向が読みとれる。業務分類別でみると、情報技術コンサルティングサービスの年間売上高が前年比31%増の362億元、クラウド関連の運営サービスが同25%増の147億元、データ処理サービスが同30%増の108億元、モバイルアプリケーションが同11%増の30億元と大きく伸長した。
例えば、クラウドでは、アリババグループの阿里雲計算(Aliyun)が、65位でトップ100社に初めてランクインした。同社は、14年上半期の中国IaaS市場でシェアトップの22.8%(IDC中国調べ)を獲得し、今年6月時点でユーザー数は180万を超えた。IDCでは、中国のクラウド市場規模が15~18年にかけて年平均45%の勢いで成長すると予測しており、これに同調して、新興のクラウドベンダーが今後も台頭してくる可能性が高い。
SIerやISVでも、すでにクラウドやモバイルの取り組みを強化している。例えば、中国ERP最大手の用友網絡科技では、モバイル業務アプリや法人向けSNSなどの新製品に注力。今年初めには、戦略商材として、クラウド・モバイル対応を強化したシステム開発基盤製品「iUAP」をリリースしたほか、8月にはインターネットサービス専業の子会社「用友超客」を設立している。15年版のトップ100社では、昨年から14順位を上げて25位につけた。
また、大手業務ソフトベンダーでは、32位の金山軟件(Kingsoft)が、今年6月に増資で440億円を調達して、クラウド事業を強化することを発表。金蝶国際軟件集団では、法人向け管理ソフトウェアとインターネットサービスの専業子会社である金蝶軟件(中国)が75位にランクインしている。
中国工信部では、トップ100社について、「(中国国内の)知的所有権を有する自主的なコア技術の開発・習得に努めている」と分析している。中国では、政府機関や国有企業を中心に、「安全で自主制御が可能」とされる国産IT製品の導入が推進されている。これに同調するかのように、14年のトップ100社の合計研究開発費は、前年比20%増の837億元と増加した。例えば、4位の浪潮集団(Inspur)では、金融・エネルギー・電力・政府機関などに対して、自社開発の「天梭」サーバーを、外資系ベンダー製品の代替機としてアピールしている。
外資系IT企業が、中国のローカル市場を開拓するには、現地に大きな影響力をもつローカルITベンダーとの協業が欠かせない。すでに、IBMやマイクロソフトなどの欧米IT企業は、現地での協業を加速している。中国に進出している日系ITベンダーは、現状、現地の日系企業を主要ターゲットとしているケースが多く、欧米系ベンダーと比べてローカル市場開拓には出遅れている。トップ100社とのWin-Winの関係の構築が求められている。