●IoTはイノベーションである 
ぷらっとホーム
鈴木友康
社長 IoTへの取り組みは、多くの企業にとって新たなIT投資となる。期待するのは、IoTデバイスから得たデータが企業にイノベーションをもたらすこと。とくにビジネスモデルを変えることへの期待は大きい。
日本マイクロソフトの大谷健・エグゼクティブプロダクトマネージャーは、IoTによるイノベーションの事例として、ドイツのエレベータ会社の取り組みを挙げる。「エレベータにセンサをつけて、部品の故障を予測する。これにより、最適なタイミングで部品を交換できるだけでなく、対象部品がわかるため、専任担当者を派遣することができる。担当者は限られた部品に特化できるため、技術の習得時間が早い」という。交換すべき部品がわかっているため、短時間の作業で済む。そして、秀逸なのはビジネスモデルに変革をもたらせたというところ。「保守料金をエレベータの稼働時間と連動させた」(大谷エグゼクティブプロダクトマネージャー)のである。稼働時間が長いほど、収益に貢献する。
定期点検で止まっているエレベータが、オフィスビルに混乱をもたらすのはよくあるケース。短時間で点検が済めば、その混乱も最小限に抑えられるというわけだ。顧客にもエレベータ会社にも、メリットをもたらす。IoTはイノベーションである。
●IoTはリスクである 導入してみなければ効果がわからない。ここまでの解説から、理解していただけるだろう。IoTデバイスから取得したデータが使えるかどうかわからない。データの分析結果から、何も得られないかもしれない。そして、イノベーションはチャレンジあってこその結果である。失敗はつきものだ。
であれば、IoTへの取り組みには撤退も考慮しなければならない。撤退のしやすさといえば、やはりクラウドということになる。
●IoTは組み合わせである IoT向けのクラウドサービスが提供される一方で、IoT向けでなくても有効活用できるクラウドサービスは世の中に数多くある。例えば、SNSとの連携。「ドアが空いたら監視カメラを回し、管理者にSNS経由でメッセージを送り、必要に応じて監視カメラの映像を確認するといった使い方ができる」と、ぷらっとホームの鈴木友康社長は語る。顔認証機能の応用も考えられる。クラウドサービスでは、「マイクロサービス」と呼ばれる単機能のサービスが多数あり、組み合わせることで高度なサービスに仕上げることができる。
ちなみに、鈴木社長によると「IoTデバイスとクラウドサービスを接続するには、プロトコルが課題となる。クラウドサービスによってプロトコルが違う」とのこと。そこで同社は、IoTデバイスとクラウドを接続するためのゲートウェイ製品を提供している。
IoTはリモートである
クラウド経由でIoTデバイスに指示を与える
発射ボタンを担当者が押し、上長が承認すると、玩具のミサイルが発射される。ミサイル発射台がIoTデバイス。データを取得すること以外にも、IoTデバイスが活用できるというデモンストレーションである。クラウドインテグレータのジョイゾーが、約2日で開発した。
まず、発射ボタンから承認までのフローでは、ワークフローに強いサイボウズのPaaS「kintone」を利用。発射の指示をkintoneから、アマゾンウェブサービスの「AWS IoT」に送り、デバイスシャドウ機能を活用して、PCに指示を与える。PC上のプログラムがその指示を受けて、USB接続されたIoTデバイスを動かすという仕組みである。図の下側にある「コントロール」の部分を活用している。
遊び要素が強いデモンストレーションだが、「IoTデバイスにおいても、ビジネスシーンでみられる申請と承認というプロセスを必要とするケースがあるのではないか」と、ジョイゾーの四宮靖隆・代表取締役は考えている。
また、図にある通り、ジョイゾーではセンサからデータを取得して、AWS上に蓄積し、ルールに応じてデータをkintoneに渡すというソリューションも提供している。「kintone上で情報共有するにしても、IoTデバイスから得たデータをすべて送るのは効率が悪い。AWS上で処理をして、業務アクションに関係するデータを送ることを想定している」と、山下竜氏は語る。このシステムは、すでに野菜工場で活用されている。
クラウドであれば、インターネットを活用しているという接続性の高さから、適材適所のサービスを選択しやすい。アイデアを思いついたら、すぐにかたちにできるのである。

ジョイゾーの四宮靖隆・代表取締役(右)と山下 竜氏。写真中央のミサイル発射台の模型は、クラウドからの指示で動かすことができる
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