●IoTはクラウドである 
日本マイクロソフト
マーケティング&オペレーションズ
クラウド&エンタープライズビジネス部
クラウド&サーバー製品マーケティング部
大谷 健
エグゼクティブプロダクトマネージャー 以上のことから、IoTといえばクラウドとなる。もちろん、クラウドベンダーは百も承知で、IoT関連にサービスを提供している。
ニフティは、IoTへの取り組みをこれから始める企業に対し、アイデア出しから運用までを「IoTデザインセンター」という支援体制により、サポートしている。同センターでは、IoT専門部隊の「ニフティIoT Lab」がユーザー顧客をサポート。ニフティクラウド上では、IoTデバイスとの接続で活用するメッセージ配信プロトコルの「MQTT」対応のサービス、IoT関連で必要となるデータベースやメッセージキューなどのサービスを用意。拡張性や柔軟性といったクラウドのメリットを生かし、IoTへの取り組みをサポートしている。
「まだ『IoTで何かをしたい』といったように、ユーザー企業の要望はふわっとしたものが多い。投資リスクを避けるためには、ミニマムサイズでのスタートが求められる。とはいえ、IoTデバイスをネットワークにつなぐ、データを収集する、IoTデバイスを管理するなど、IoTではやるべきことが多い。そこを埋めるのが、クラウドサービスの役割となる」と、ニフティの佐々木部長は語る。また、クラウド事業部クラウドマーケティング部の西尾敬広氏は、「IoTといえばクラウドだが、データでもある。データをマネジメントしてこそ価値がある」と考えている。そのため、今後はニフティクラウド上で分析機能などを強化していくことを方針としている。

ニフティ クラウド事業部モバイル・IoTビジネス部の佐々木浩一部長(左)、クラウド事業部クラウドマーケティング部の西尾敬広氏 「IoTに対して、ニーズが具体的なのは製造業」と語るのは、NTTコミュニケーションズの技術開発部IoTクラウド戦略ユニットの境野哲・担当部長 IoT・エバンジェリストである。ところが製造業の場合は、パブリッククラウドの採用に対して抵抗感があるという。「製造業の生産現場では、センサを活用して機械などの状況を把握したいというニーズがある。しかし、生産現場には機密情報が多く、社外のデータセンター(DC)は使用しないのが一般的。セキュリティが確保されているとしても、データがインターネット上に流れるのは許されない」(境野担当部長)。そこでNTTコミュニケーションズは、クローズドなネットワークを提供し、プライベートクラウドとしての環境を提供することで、IoTの導入を推進している。

NTTコミュニケーションズ 技術開発部IoTクラウド戦略ユニットの境野 哲・担当部長 IoT・エバンジェリスト(右)、進藤勝志・担当課長 海外に進出している日本の製造企業では、生産現場の状況を日本の本社で把握することを目的にIoTを活用するというニーズがある。「実は、装置会社がIoTを活用することでトラブルを未然に防ぎたいと提案しても、セキュリティの観点から工場のオーナーが認めてこなかった。しかし、最近はオーナーも積極的になりつつある。機会損失を減らすために、装置が故障する前に対処したいと考えているからだ」と、技術開発部IoTクラウド戦略ユニットの進藤勝志・担当課長はIoTに対する認識の変化を感じている。
ただし、IoTを導入することの効果が読めず、投資に消極的なのは製造業も同じ。そこでNTTコミュニケーションズは、製造業向けのIoTプラットフォーム「Connected Factory」をトライアルとして提供することを計画している。また、同社のパートナー向けには、「グローバルクラウドIoTテストベッド」という検証環境の提供も開始している。
マイクロソフトも、製造業がIoT関連市場の中心になると考えている。「日本の製造業はM2Mに取り組んできているので、IoTが新しいとは感じていない。ただ、センサから多くのデータを得られるようになったことで、保存先としてクラウドが活用されるようになっている。また、複数の工場を一元管理するにも、クラウドにデータを集めたほうが扱いやすい」と、日本マイクロソフトの大谷エグゼクティブプロダクトマネージャーは製造業の状況を捉えている。ただし、マイクロソフトはデータを集めるための器にとどまるのではなく、分析サービスなどのサービス提供に注力している。
マイクロソフトは、IoTを始めるにあたっての第一歩として、IoT向けのサービス群「Azure IoT Sweet」を提供している。遠隔監視、予兆保全、資産管理の三つのサービスを中心に構成していて、IoTの7~8割のシナリオがカバーできるという。「当社は2~3年前からIoTを意識したサービス提供に取り組んできた。もはや、IoTという流れに追いつこうというモードは終わっている」と、大谷プロダクトマネージャーはIoT分野で競合他社に一歩リードしていることをアピールする。そして、マイクロソフトの強みは分析にある。「IoTではデータの分析までやらないと意味がない。データを可視化することで、生産性が30%アップしたという事例もある。分析は未来を予測することにも活用できる。そこでは、当社が長年取り組んできているAI(人工知能)機能もサービスとして提供していく」とのことである。
●IoTはSIerである クラウドではサービスをいつでも追加できるため、発展途上のIoT分野には最適なプラットフォームといえる。IoTに必要なサービスはクラウドベンダー各社が提供しているため、SIerはソリューション開発に注力できる。IoTデバイスの扱いに不慣れなSIerでも、クラウドがあるおかげで参入しやすいというわけだ。
とはいえ、IoTは比較的新しい分野だけに、SIerとしては少しでも多くの情報が欲しいところ。そこで、東京エレクトロンデバイスが幹事となって立ち上げたのが「IoTビジネス共創ラボ」というコミュニティである。IoTビジネス共創ラボでは、AzureをプラットフォームとするIoTプロジェクトのノウハウ共有を目的としている。「1年間で100社のメンバーを目指していたが、すぐにでも到達しそうな状況になっている」と、大谷プロダクトマネージャーは語る。
“IoTといえばクラウドでしょ”の動きが、SIerにも確実に広がっている。