五霞町
専任担当者がいない先進自治体

五霞町
矢島征幸
政策財務課
財務グループ
主幹 茨城県の西南端に位置し、利根川や江戸川などの河川に四方を囲まれている五霞町。葛飾区柴又から江戸川を北上し、五霞町で折り返す100kmマラソン「柴又100K」の折り返し地点として、首都圏のウルトラランナーにはなじみの自治体でもある。人口は約9000人。小規模な自治体のため、情報システムの専任部署はなく、政策財務課財務グループの矢島征幸・主幹が兼任で情報システム関連を担当している。
五霞町の特徴は、すべての情報システムを庁外のクラウド上に置いているところにある。庁内にあるのはバックアップのためのサーバーのみであり、通常業務で使用するサーバーは置いていない。システムで取り扱うデータも、すべて庁外にという状況である。多くの自治体が庁内に置いている戸籍のシステムも、庁外のクラウドサービスを利用している。
「データセンターのセキュリティレベルは、自治体では用意できない。庁内よりも、クラウドを利用したほうが安全。ただ、クラウドを利用するにあたって、心配なのは回線。つながらないから住民サービスができないでは、説明にならない」と矢島主幹。そこで、五霞町ではクラウドの接続にいばらきブロードバンドネットワーク、LGWAN、3G回線という3種類の回線を用意している。防災訓練では、3G回線を活用したシステムの稼働確認も行っているという。
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また、五霞町は、常陸大宮市、かすみがうら市、那珂市とともに、クラウド型による基幹業務システムの共同利用を実現している。基幹業務システムの共同利用は、全国的にも数少ない事例の一つとなっている。クラウド化によって運用コストの3割削減を実現していて、「削減分をコンビニでの交付や収納など、住民サービスに割り当てることができた」(矢島主幹)といった効果も出ている。
マイナンバー関連にも積極的に取り組んでいて、個人番号カードを住民宅に出向いて申請を受け付けたほか、タブレット端末で顔写真を撮ってウェブで申請するということにも対応した。これらの対応によって、個人番号カードの交付率は全国トップクラスにあるという。「今後は個人番号カードをもつことのメリットを感じていただけるようなサービスを充実させていきたい」と、矢島主幹は積極的な姿勢をみせている。

このように電子自治体の取り組みに積極的な五霞町でも、強靭性向上モデルには少なからず影響があった。「インターネット接続系の端末をどうするかは悩ましいところ」と矢島主幹は語る。ただ、茨城県では、以前からインターネット接続系の取りまとめに取り組んでいて、メールサーバーやプロキシサーバーは茨城県のセキュリティクラウドとして機能しているという。しかも、メールは無害化され、LGWANメールに転送される。「メールに関しては、LGWANかインターネット化を意識することなく利用できる環境になっている」とのこと。今後は、グループウェアも県で集約する方向で動いているとのことである。
セキュリティクラウドのメリットについて、矢島主幹は次のように語る。「ログ監視などの体制面、テクノロジーや予算で考えても、セキュリティ対策は小さな自治体ではやりきれない。県がまとめてくれるのは本当にありがたい」。とはいえ、県に丸投げするのではなく、セキュリティ関連の事故を想定した訓練、eラーニングを活用した職員教育など、さまざまなセキュリティ対策に取り組んでいる。「五霞町は、決して情報化の先進自治体ではない。町村のなかではがんばっている程度」と矢島主幹は謙遜するが、多くの自治体が参考とすべき取り組みをしていることは確かだ。