Special Feature
[限定特集] Woman×IT 働く女性の本音を探る「IT女子座談会」 IT業界、働きやすいですか?
2016/06/30 21:33
週刊BCN 2016年06月27日vol.1634掲載
「女性の活躍」を推進するためには、妊娠・出産などのライフイベントを経験した女性をどうサポートするかという問題を避けて通れない。IT業界といえば、長時間労働などがクローズアップされ、大変な職場なのではないかという先入観をもたれがち。果たして女性が活躍できる環境が整っているのだろうか。『週刊BCN』では、IT業界で活躍する女性6人を招き、座談会を開催した。それぞれの経験にもとづき、業界の課題や女性活用のあるべき姿などについて、大いに語り合ってもらった。
女性が活躍できるかどうかは
──さっそくですが、IT業界におられて、今、どのようなキャリアを歩みたいとお考えですか。また、立てたキャリアプランに対して現状はいかがでしょうか。
小曽戸(Agoop) 就職活動時から一生働きたいという考えをもって、仕事を探していました。というのも、男性に頼りきりになることにもどかしさを感じていたからです。結婚や出産を経験して、産休や育休もちゃんと取得して、働き続けたい。そうしたことに重きを置いて、キャリアを考えています。まだ結婚も出産もしていませんが、そうなっても、ずっと仕事を続けていければと思っています。
天田(AJS) 小曽戸さんと同じで、もともと長く働きたいという思いがありました。たまたま縁があって結婚して子どもに恵まれ、それでも働いていける環境で仕事ができているというのが現状です。どちらかというと、出産後のほうがハードな仕事を任せてもらっていますね。
今はまだ管理職ではないですが、周囲からは「早くそっち(=管理職)に行ってくれ」と、お尻をたたかれます。ただ、そうなると現場の仕事を学べるのは今しかない。管理職はまだ後と思っていましたが、やはり上に行くことで後輩たちを育てないといけないですし、意見を通そうとするなら、自分が上に行かないとなかなか伝わらない。今は上に行きたいなという気持ちが芽生えてきて、そのための勉強を始めています。
柏原(エンバカデロ・テクノロジーズ) ずっと働いていたいと思っていたのですが、新卒で入ったERPベンダーでは、全体の9割5分くらいが男性という環境で、とにかく大変だったんです。最初の2年間は、「早く仕事を辞めたい」と悩んでいました。3年目に入ったとき、プライベートでいろいろなこともあり、「自分でちゃんと稼いで自立しないと思い通りに生きられない」と転職を決断しました。それからずっとセールスをやってきて、今はマーケティングを担当しています。
ただ、マーケティング未経験で入社したため、もっと勉強していこうと思っていたところで子どもを授かり、うれしい反面、キャリアを一旦中断してしまうことに少し複雑な気持ちです。出産を機に働き方などについて考えることもあるでしょうし、産後復帰できる立場にいるので、またスキルを磨いていきたいと思っています。
谷(Tagetik Japan) 皆さんと同じで、一生働いていこうと思っていました。IT業界に興味をもち、「製品の中身をちゃんと理解して売りたい」との思いから、新卒ではSEとして入社して、そこからだんだんセールスに近い立場になっていきました。その頃の一社一社に提案して導入していくという流れも楽しかったのですが、次第に「売れる仕組みをつくる」ということにやりがいを感じるようになり、現在はマーケティングを担当しています。
狩野(日本情報通信) 今年で入社2年目になります。入社前は正直、自分のキャリアを長い目ではみていませんでした。働きやすい環境があると思って、今の会社を選びましたが、実際入ってみないと、どこまで本当かわからないので……。でも、フレックスや産休・育休などの制度面も充実していて、ふたを開けてみたら本当に働きやすい会社だったと実感しています。今、あこがれている先輩がいて、その先輩はお子さんがいるなか、営業として前線で活躍されています。その姿に影響を受け、「長く仕事を続けたい」「そのためにはどうしていけばいいのか考えよう」という、入社前とは全然違った意欲が出てきました。
亀井(ミラクル・リナックス) 最初は、あまりキャリアプランを考えていませんでした。(学生時代は)就職活動をせずに非常勤講師として働き、結婚し引っ越してからは専業主婦をやっていました。
でも、専業主婦では人と会う機会があまりないですし、自由に使えるほどのお金もない。「やはり働かないと」と思っていたときに、夫がミラクル・リナックスを紹介してくれて入社しました。
──みなさん「長く働きたい」という方たちばかりなんですね。まわりもそういう人が多いのですか。
小曽戸 そこは分かれますね。
天田 社風が重要だと思います。IT業界は男性社会で、最初は休みを取りにくかったり、妊娠しながらフル勤務で残業したりもしていて……。男性に気をつかってもらったり、理解されないこともあり、つらい思いをすることも多少ありました。でも、最初に私たちが女性の立場を開拓していったことで、後輩たちの居心地がよくなっている。そういう意味では、開拓者がいることで社風がどんどん変わっていくのではないかと思います。女性が活躍できるかどうかは、社風や会社の風土が関係するのは絶対だと思いますね。
小曽戸 一度、病気で1週間ほど入院しました。周囲が快く休ませてくれて、手厚いフォローをいただき、この会社で働いていてよかったなと思ったと同時に、健康で働くということが一番なのだと実感しました。
亀井 結婚して引っ越した時が転機でした。結婚した当時は大学院に在籍していて、研究をしながら高専でドイツ語の非常勤講師を務めるという二足のわらじを履いていました。研究者になるという希望もありましたが、夫の転職を機に引っ越すことになり、すっぱりと辞めました。今振り返っても辞めてよかったと思っています。そのときで第一の人生が終わって、ブランクはあったものの、新しくITの仕事に就いたことで第二の人生を始めることができました。
谷 私の場合は転職です。最初に入社したSI企業は女性が全体の約2割前後で役職者はとくに少なく、結婚や出産を期に退職するという人も多かったんです。この会社では、より責任ある仕事をやらせてもらうのが難しいのではないかと考えました。新しいことをしたいという思いもあり、小さい企業に転職したことがよかったです。小さい会社だと、自分でやり遂げなければ結果に結びつかないですし、自立して仕事をしていくということが、よく理解できました。
前の会社にいるときに結婚したのですが、「結婚してるんだから早く帰っていいよ」とか「旦那さん心配するんじゃない?」などと気をつかわれたくなくて結婚したと言えなくて、辞める直前になって報告しました(笑)。今の会社はまだ3人しかいないのですが女性のほうが多く、上司(男性)も理解があるので、存分にやらせてもらっています。
柏原 私はこれまでに3度転職していて、現在の会社が4社目なんです。1社目はERPベンダーで、次は生命保険会社に入社しました。違う業界になって、営業スタイルや人との接し方が変わったことが一つの転機です。また、転職していろいろな会社の風土をみることで、新たな環境に適応する力を身につけることができたのではないかと思います。
この先、産後復帰したときは現在のポジションに戻してもらえる予定ですが、私の場合は親が近くに住んでいないので、働き方の面で今後どうなるかな、というのが少し心配ではありますね。
天田 私はやはり出産が大きいですね。3人の子どもがいるんですけど、産休と育休を1年、3人ともとらせていただきました。復帰時は同じ部署に戻るのですが、休暇が1年なので、会社に空きがあるところに入ることになります。それで、たまたま後輩が産休に入るタイミングでチェンジするかたちで旭化成に出向となり、違う職場で同じ仕事をしています。それまでは本社勤務しかしたことがありませんでしたが、(旭化成は)製造業なので、今は全国にある工場に行って、システムのことなどいろいろとやりとりをしています。現場の人に会社が支えられているということを生で知り、すごく新鮮です。今までが何だったんだと思うくらい勉強になっていて、だからハードスケジュールにも耐えられていると思っています。
狩野 私はまだ転機といえるようなことは経験していませんが、今の仕事を長く続けたいので、「結婚や出産はいつか経験するかも」とは思っています。そのときにどう職場に戻るのかが問題で、当社では復帰時、事務職に就いたり、あるいはもとの職種に戻るなど本人が選べます。自分がそうなったときにどちらを選ぶかということはまだみえませんが、どちらであっても頑張りたい。今のところは、先ほどのあこがれの先輩のように、結婚や出産で休暇を取得したとしても、今と同じような立場に復帰してバリバリ働きたいです。 ページ数:1/1 キャプション:仕事と家庭の両立に
──キャリア形成に関して、IT業界の課題として感じているものはありますか。
小曽戸 皆さんのお話を聞くまでは、IT業界に対して先入観が先行していて、「結婚したらすぐ辞めたい!」みたいな人が多いのかと思っていたのですが、皆さんが「戻りたい」とか「社風がいい」とおっしゃって、正直びっくりしました。私自身はIT業界にそんなに課題ってあるのかな、というのが正直なところです。何かありますか?
狩野 私は女子大卒なのですが、IT業界に入った友人はいなかったです。その理由は、やはりIT業界への先入観があるからだと思います。そうした印象をもたれていること自体が課題なのではないでしょうか。実際には充実したサポートがあっても、それが伝わっていない。皆さんのように、IT業界で仕事と家庭を両立しながら活躍されている女性がいるという事実を発信していくことが、女性のIT業界への進出やイメージの払しょくにつながるのではないでしょうか。
天田 IT業界が男性社会で、女性に対する理解が十分でないというのはあると思います。けれども、女性だから得することもたくさんある。私は女性の強みを使っていけばいいのではないかと考えています。当社では在宅や時短勤務といった制度面のサポートもあり、産後復帰する女性社員がたくさんいます。ただ、そうした制度がある企業だからこそ、それらを大きな態度で濫用してはいけない。会社に迷惑をかけている分、「ありがたい」と感謝しながら利用していくことが大事です。
柏原 私も正直、IT業界の課題ってあまり出てこないです。一つあげるとするなら「変化が早い」ことかなと。以前勤めた保険業界は、商品体系をみればだいたい内容を理解できますが、ITは一年も経つとテーマが変わってきます。そこはIT業界ならではのことなのではないでしょうか。そうした意味では、産休を取得して復帰したときに情報が遅れていたら戦力にならないので、アンテナを立てておかないといけない。
谷 私は異業種での経験がなく、第三者的な立場でみるのは難しいですが、自分が経験してきたなかでいえば、残業が多い業界なのかなと思います。みなさんどうですか?
一同頷く
亀井 私も労働時間が長いことは問題だと思います。私も夫も同じように夜遅くまで働いて帰って寝るという生活が続いてしまっていて、家族と過ごす時間がもっとあればいいかなと。また、以前に新卒で入社した女性のエンジニアがいたのですが、3年ぐらいで退職してしまって。理由ははっきりとはわかりませんが、遅くまで仕事をしていることがあったのでつらかったのかもしれない。そういうのを体験するとショックに思います。
天田 私は9年ほど前から時短勤務を利用しています。最初はフルタイムの人に比べて評価が低かったのですが、それはおかしいと思いました。むしろ「限られた時間のなかで仕事をして成果を出しているのだから、どちらかというとプラスになってもいいぐらいだ」と。「これはおかしい」とずっと訴え続けて、4、5年前にようやく制度を変えていただき、業績で評価してもらえるようになりました。
──天田さんのおかげで、社内の評価制度が変わったということですね。
天田 そうでないと、私にも生活があるので不満が溜まります。もちろん文句を言っているだけではだめなので、その分やるべきことは人一倍働きました。意見が通る会社だからよかったというのはありますが、やはり「発信する」ことが大事だと思います。結果がついてくるかどうかわからないですけど、前へ進む一歩になる。今後もこういうことは続けていきたいです。
小曽戸 時短勤務は、時間的拘束がある分、仕事をどれだけ凝縮してやるかという気持ちの強い人が多い印象です。フルタイムでで働くかどうかに関係なく、結果でしっかり評価されるのは非常にいいことだと思います。
谷 でも、フルタイムと同じかそれ以上の成果をあげていたとしても、給料をフルタイムと同じにするというところまでは難しいのでしょうか。
天田 時間の短縮分については給与から減りますが、これはあたりまえですよね。ただ、評価は「S」をもらえたりするので、そうしたらその分給料はプラスになります。時短分をマイナスにしても、そこは対等になるのかなと思いますね。
小曽戸 誰かが率先してやっていくことで、会社も柔軟に対応してくれるのですね。
天田 最初は苦労しました。入社して15年になりますが、入社当初は目指したいと思う先輩があまり見当たらなくて。狩野さんがおっしゃったように、身近に目指す先輩がいると「私も同じようにいきたいな」と思える。それはいい意味で恵まれている環境だと思うので、先輩たちがパイオニアとして開拓してきた道を、後輩たちも続いていくことが大事かなと思います。偉そうなことはいえないですけど(笑)。
──今、何か気になることはありますか。
小曽戸 先ほどIT業界の労働環境についての話をさせていただきましたが、状況が悪かったのは一昔前の話なのでしょうか。実は改善されてきているのに、悪いイメージが払しょくされていないだけなのでしょうか。
柏原 IT業界というよりSIerだと思いますが、エンジニアなどは納期に追われると夜中までやらざるを得ないというのは今でも聞きます。なので職種やプロジェクトによるのではないかと。
小曽戸 では業界にかかわらず、スポットで忙しいときは、というような感覚なんですかね。
柏原 昔はそういうのがひどかったんでしょうね。
谷 机の近くに段ボールを敷いて寝たりとか聞いたことがあります。
天田 泊まったりというのは実際あります。私もやっていました。そういうことが多いのはやはりIT業界なのかもしれないですね。ただ、今はいろいろな面で考え方が厳しくなってきたのもあって、少しずつよくなってきてるのは確かだと思います。
柏原 仕事が好きだから夜中まで寝ないでやるという人もいます。自分の意識の問題もあるのかもしれないですね。
狩野 確かに、捉え方の問題というのもありますよね。どうしても大型連休や年末にやらざるを得ないプロジェクトもありますが、それは仕方のないことですし、代わりにどこか別のタイミングで休める会社もある。
天田 それに、在宅勤務をはじめとして、新しい働き方を採り入れやすい業界なのかもしれないです。
小曽戸 扱っている製品が新しいというのもあり、制度も新しいものを採り入れているというIT企業が多いのかもしれませんね。 ページ数:1/1 キャプション:
狩野 目標になる人が身近にいて、環境に恵まれているということに改めて気づきました。また、休暇後復帰するためには、会社や家族のバックアップも必要ですが、それ以前に自分がどれだけ会社にとって必要な人間になっているかが大切だと思います。まだまだ駆け出しなので、自分のためにも会社のためにも必要とされる人間になれるように頑張らないといけないです。
谷 皆さんのお話をうかがいながら、将来子どもができたときに、どれだけまわりから援助を受けられるか、受けられるような環境をつくっていけるかが重要だと思いました。その時々でいろいろな選択ができるような環境をつくることで、未来をつくっていけるのではないでしょうか。皆さんが努力を重ねてそうした環境をつくってきたというお話を聞いて、自分もそうなれるよう、日々努力を積み重ねていきたいです。
亀井 皆さんのお話から、会社の体制がまだまだと実感しました。少しでも女性が働きやすくなるような環境がつくれるように働きかけていきたいです。当社では、女性のエンジニアは私が初めてだったのですが、最近は増えてきていて、来年には後輩の女性のエンジニアが二人入社する予定です。後輩に頑張っている姿を示していけたらと思います。
柏原 私は業界や会社というより、(女性に対する)男性の意識のほうが問題なのではないかと思います。管理職になる人は今でも男性が多いですし、女性がひたすら頑張っていることに対して、男性はそれがあたりまえだと思っている気がします。そうした意識を変えていく、わかってもらうことが、今の日本で変えていかなければいけない問題なのではないでしょうか。
天田 今日はいろいろな職種を経験してこられた方から、さまざまな意見を聞くことができました。これから開拓していく部分もあるでしょうけれども、いろいろな女性がいるからこそ、未来が明るい。女性はやっぱり強くて、出産を経験するとますます強くなり、ずうずうしくもなる(笑)。それを力に変えて、これからもやっていけたらと思います。
小曽戸 IT業界には残業が多く大変だという先入観がありましたが、働く環境は改善されてきているのではと感じました。長時間労働などの問題は、やはり最先端のことに取り組むITにはつきものという気もします。働く人がそれを理解して、あえて選択している部分もあるでしょうから、多少は仕方がないのかもしれません。ただ、例えば結婚、出産、病気など、何かあったときにどれだけ家族や会社が助けてくれるかによって、捉え方は変わってくるのではないでしょうか。私は今日、皆さんのお話をうかがって、女性にとってもIT業界の未来は明るいと思いました。
──ありがとうございました。
また、会社に産休育休、時短勤務などの各種制度が備わっていたとしても、それをしっかり活用できる社風があるかが重要なポイントになる。会社に制度変更を訴えたAJSの天田さんも「最初は休みが取りにくかった」と語るが、そうした制度を利用した前例がない会社であれば、利用したいと思う側も、フルタイムで働く人たちを横目にためらってしまうケースがある。とくに男性には、そうした制度を利用する女性に対する理解が求められる。
国は「女性の活躍推進」を施策として打ち出している。女性が活躍できる職場環境づくりを制度面からも応援していこうということである。そうしたなかで、社内制度の改革やキャリアアップの成功談などがあれば、それは貴重なモデルケースになる。こうした情報を、女性側も積極的に発信していくことが重要だ。

(写真左から)●Agoop 営業企画本部営業部セールスマネージャー 小曽戸 優さん
●ミラクル・リナックス 技術本部サポート部プリンシパルエンジニア 亀井美香さん
●Tagetik Japan フィールドマーケティングマネージャー 谷 あさひさん
●日本情報通信 ソリューションビジネス本部
クラウド・テクニカルセールス部第2グループ 狩野夏希さん
●エンバカデロ・テクノロジーズ マーケティング担当 柏原舞子さん
●AJS ビジネスソリューション事業本部
ソリューションサービス事業部ソリューションサービス2部 天田清子さん
●ミラクル・リナックス 技術本部サポート部プリンシパルエンジニア 亀井美香さん
●Tagetik Japan フィールドマーケティングマネージャー 谷 あさひさん
●日本情報通信 ソリューションビジネス本部
クラウド・テクニカルセールス部第2グループ 狩野夏希さん
●エンバカデロ・テクノロジーズ マーケティング担当 柏原舞子さん
●AJS ビジネスソリューション事業本部
ソリューションサービス事業部ソリューションサービス2部 天田清子さん
女性が活躍できるかどうかは
社風や風土が関係する
──さっそくですが、IT業界におられて、今、どのようなキャリアを歩みたいとお考えですか。また、立てたキャリアプランに対して現状はいかがでしょうか。 
Agoop 小曽戸 優 営業企画本部営業部セールスマネージャー
新卒でソフトバンクに入社。事務を経験し、Agoop設立に参画。
Agoopではスマートフォンで収集した位置情報ログを活用した製品の企画や販売を担当する。
小曽戸(Agoop) 就職活動時から一生働きたいという考えをもって、仕事を探していました。というのも、男性に頼りきりになることにもどかしさを感じていたからです。結婚や出産を経験して、産休や育休もちゃんと取得して、働き続けたい。そうしたことに重きを置いて、キャリアを考えています。まだ結婚も出産もしていませんが、そうなっても、ずっと仕事を続けていければと思っています。

AJS 天田清子 ビジネスソリューション事業本部
ソリューションサービス事業部ソリューションサービス2部
2002年入社し、SEとして従事する。現在は親会社である旭化成
(旧:旭化成ケミカルズ)に出向中。3児の母。
ソリューションサービス事業部ソリューションサービス2部
2002年入社し、SEとして従事する。現在は親会社である旭化成
(旧:旭化成ケミカルズ)に出向中。3児の母。
天田(AJS) 小曽戸さんと同じで、もともと長く働きたいという思いがありました。たまたま縁があって結婚して子どもに恵まれ、それでも働いていける環境で仕事ができているというのが現状です。どちらかというと、出産後のほうがハードな仕事を任せてもらっていますね。
今はまだ管理職ではないですが、周囲からは「早くそっち(=管理職)に行ってくれ」と、お尻をたたかれます。ただ、そうなると現場の仕事を学べるのは今しかない。管理職はまだ後と思っていましたが、やはり上に行くことで後輩たちを育てないといけないですし、意見を通そうとするなら、自分が上に行かないとなかなか伝わらない。今は上に行きたいなという気持ちが芽生えてきて、そのための勉強を始めています。

エンバカデロ・テクノロジーズ 柏原舞子 マーケティング担当
ERPパッケージベンダーや生命保険会社などを経て、エンバカデロに入社。主にマーケティングを担当する。同社では現在2年目。第一子を妊娠しており産休中(取材時)。
ERPパッケージベンダーや生命保険会社などを経て、エンバカデロに入社。主にマーケティングを担当する。同社では現在2年目。第一子を妊娠しており産休中(取材時)。
柏原(エンバカデロ・テクノロジーズ) ずっと働いていたいと思っていたのですが、新卒で入ったERPベンダーでは、全体の9割5分くらいが男性という環境で、とにかく大変だったんです。最初の2年間は、「早く仕事を辞めたい」と悩んでいました。3年目に入ったとき、プライベートでいろいろなこともあり、「自分でちゃんと稼いで自立しないと思い通りに生きられない」と転職を決断しました。それからずっとセールスをやってきて、今はマーケティングを担当しています。
ただ、マーケティング未経験で入社したため、もっと勉強していこうと思っていたところで子どもを授かり、うれしい反面、キャリアを一旦中断してしまうことに少し複雑な気持ちです。出産を機に働き方などについて考えることもあるでしょうし、産後復帰できる立場にいるので、またスキルを磨いていきたいと思っています。

Tagetik Japan 谷 あさひ
新卒で入社したSI企業ではSE、ITコンサルティング企業で新規事業の企画開発や
マーケティングなど、さまざまな職種を経験。Tagetikには今年4月に入社した。
新卒で入社したSI企業ではSE、ITコンサルティング企業で新規事業の企画開発や
マーケティングなど、さまざまな職種を経験。Tagetikには今年4月に入社した。
谷(Tagetik Japan) 皆さんと同じで、一生働いていこうと思っていました。IT業界に興味をもち、「製品の中身をちゃんと理解して売りたい」との思いから、新卒ではSEとして入社して、そこからだんだんセールスに近い立場になっていきました。その頃の一社一社に提案して導入していくという流れも楽しかったのですが、次第に「売れる仕組みをつくる」ということにやりがいを感じるようになり、現在はマーケティングを担当しています。

日本情報通信 狩野夏希
ソリューションビジネス本部クラウド・テクニカルセールス部第2グループ
15年4月に新卒で入社し、今年2年目のSE。クラウド全般の提案から構築までを手がける。学生時代からIT業界を志望。
ソリューションビジネス本部クラウド・テクニカルセールス部第2グループ
15年4月に新卒で入社し、今年2年目のSE。クラウド全般の提案から構築までを手がける。学生時代からIT業界を志望。
狩野(日本情報通信) 今年で入社2年目になります。入社前は正直、自分のキャリアを長い目ではみていませんでした。働きやすい環境があると思って、今の会社を選びましたが、実際入ってみないと、どこまで本当かわからないので……。でも、フレックスや産休・育休などの制度面も充実していて、ふたを開けてみたら本当に働きやすい会社だったと実感しています。今、あこがれている先輩がいて、その先輩はお子さんがいるなか、営業として前線で活躍されています。その姿に影響を受け、「長く仕事を続けたい」「そのためにはどうしていけばいいのか考えよう」という、入社前とは全然違った意欲が出てきました。

ミラクル・リナックス 亀井美香 技術本部サポート部プリンシパルエンジニア
Linux OS「Asianux Server」の開発やテクニカルサポートなどを担当。
大学院時代にはドイツ語の非常勤講師を務めた。結婚をきっかけに専業主婦となり、
その後、夫の紹介で同社に入社した。
Linux OS「Asianux Server」の開発やテクニカルサポートなどを担当。
大学院時代にはドイツ語の非常勤講師を務めた。結婚をきっかけに専業主婦となり、
その後、夫の紹介で同社に入社した。
亀井(ミラクル・リナックス) 最初は、あまりキャリアプランを考えていませんでした。(学生時代は)就職活動をせずに非常勤講師として働き、結婚し引っ越してからは専業主婦をやっていました。
でも、専業主婦では人と会う機会があまりないですし、自由に使えるほどのお金もない。「やはり働かないと」と思っていたときに、夫がミラクル・リナックスを紹介してくれて入社しました。
──みなさん「長く働きたい」という方たちばかりなんですね。まわりもそういう人が多いのですか。
小曽戸 そこは分かれますね。
天田 社風が重要だと思います。IT業界は男性社会で、最初は休みを取りにくかったり、妊娠しながらフル勤務で残業したりもしていて……。男性に気をつかってもらったり、理解されないこともあり、つらい思いをすることも多少ありました。でも、最初に私たちが女性の立場を開拓していったことで、後輩たちの居心地がよくなっている。そういう意味では、開拓者がいることで社風がどんどん変わっていくのではないかと思います。女性が活躍できるかどうかは、社風や会社の風土が関係するのは絶対だと思いますね。
結婚、出産、転職、病気がキャリアの転機に
──これまでのキャリアのなかで、転機となった経験はありますか。小曽戸 一度、病気で1週間ほど入院しました。周囲が快く休ませてくれて、手厚いフォローをいただき、この会社で働いていてよかったなと思ったと同時に、健康で働くということが一番なのだと実感しました。
亀井 結婚して引っ越した時が転機でした。結婚した当時は大学院に在籍していて、研究をしながら高専でドイツ語の非常勤講師を務めるという二足のわらじを履いていました。研究者になるという希望もありましたが、夫の転職を機に引っ越すことになり、すっぱりと辞めました。今振り返っても辞めてよかったと思っています。そのときで第一の人生が終わって、ブランクはあったものの、新しくITの仕事に就いたことで第二の人生を始めることができました。
谷 私の場合は転職です。最初に入社したSI企業は女性が全体の約2割前後で役職者はとくに少なく、結婚や出産を期に退職するという人も多かったんです。この会社では、より責任ある仕事をやらせてもらうのが難しいのではないかと考えました。新しいことをしたいという思いもあり、小さい企業に転職したことがよかったです。小さい会社だと、自分でやり遂げなければ結果に結びつかないですし、自立して仕事をしていくということが、よく理解できました。
前の会社にいるときに結婚したのですが、「結婚してるんだから早く帰っていいよ」とか「旦那さん心配するんじゃない?」などと気をつかわれたくなくて結婚したと言えなくて、辞める直前になって報告しました(笑)。今の会社はまだ3人しかいないのですが女性のほうが多く、上司(男性)も理解があるので、存分にやらせてもらっています。
柏原 私はこれまでに3度転職していて、現在の会社が4社目なんです。1社目はERPベンダーで、次は生命保険会社に入社しました。違う業界になって、営業スタイルや人との接し方が変わったことが一つの転機です。また、転職していろいろな会社の風土をみることで、新たな環境に適応する力を身につけることができたのではないかと思います。
この先、産後復帰したときは現在のポジションに戻してもらえる予定ですが、私の場合は親が近くに住んでいないので、働き方の面で今後どうなるかな、というのが少し心配ではありますね。
天田 私はやはり出産が大きいですね。3人の子どもがいるんですけど、産休と育休を1年、3人ともとらせていただきました。復帰時は同じ部署に戻るのですが、休暇が1年なので、会社に空きがあるところに入ることになります。それで、たまたま後輩が産休に入るタイミングでチェンジするかたちで旭化成に出向となり、違う職場で同じ仕事をしています。それまでは本社勤務しかしたことがありませんでしたが、(旭化成は)製造業なので、今は全国にある工場に行って、システムのことなどいろいろとやりとりをしています。現場の人に会社が支えられているということを生で知り、すごく新鮮です。今までが何だったんだと思うくらい勉強になっていて、だからハードスケジュールにも耐えられていると思っています。
狩野 私はまだ転機といえるようなことは経験していませんが、今の仕事を長く続けたいので、「結婚や出産はいつか経験するかも」とは思っています。そのときにどう職場に戻るのかが問題で、当社では復帰時、事務職に就いたり、あるいはもとの職種に戻るなど本人が選べます。自分がそうなったときにどちらを選ぶかということはまだみえませんが、どちらであっても頑張りたい。今のところは、先ほどのあこがれの先輩のように、結婚や出産で休暇を取得したとしても、今と同じような立場に復帰してバリバリ働きたいです。 ページ数:1/1 キャプション:
仕事と家庭の両立に
サポートを活用
──キャリア形成に関して、IT業界の課題として感じているものはありますか。 小曽戸 皆さんのお話を聞くまでは、IT業界に対して先入観が先行していて、「結婚したらすぐ辞めたい!」みたいな人が多いのかと思っていたのですが、皆さんが「戻りたい」とか「社風がいい」とおっしゃって、正直びっくりしました。私自身はIT業界にそんなに課題ってあるのかな、というのが正直なところです。何かありますか?
狩野 私は女子大卒なのですが、IT業界に入った友人はいなかったです。その理由は、やはりIT業界への先入観があるからだと思います。そうした印象をもたれていること自体が課題なのではないでしょうか。実際には充実したサポートがあっても、それが伝わっていない。皆さんのように、IT業界で仕事と家庭を両立しながら活躍されている女性がいるという事実を発信していくことが、女性のIT業界への進出やイメージの払しょくにつながるのではないでしょうか。
天田 IT業界が男性社会で、女性に対する理解が十分でないというのはあると思います。けれども、女性だから得することもたくさんある。私は女性の強みを使っていけばいいのではないかと考えています。当社では在宅や時短勤務といった制度面のサポートもあり、産後復帰する女性社員がたくさんいます。ただ、そうした制度がある企業だからこそ、それらを大きな態度で濫用してはいけない。会社に迷惑をかけている分、「ありがたい」と感謝しながら利用していくことが大事です。
柏原 私も正直、IT業界の課題ってあまり出てこないです。一つあげるとするなら「変化が早い」ことかなと。以前勤めた保険業界は、商品体系をみればだいたい内容を理解できますが、ITは一年も経つとテーマが変わってきます。そこはIT業界ならではのことなのではないでしょうか。そうした意味では、産休を取得して復帰したときに情報が遅れていたら戦力にならないので、アンテナを立てておかないといけない。
谷 私は異業種での経験がなく、第三者的な立場でみるのは難しいですが、自分が経験してきたなかでいえば、残業が多い業界なのかなと思います。みなさんどうですか?
一同頷く
亀井 私も労働時間が長いことは問題だと思います。私も夫も同じように夜遅くまで働いて帰って寝るという生活が続いてしまっていて、家族と過ごす時間がもっとあればいいかなと。また、以前に新卒で入社した女性のエンジニアがいたのですが、3年ぐらいで退職してしまって。理由ははっきりとはわかりませんが、遅くまで仕事をしていることがあったのでつらかったのかもしれない。そういうのを体験するとショックに思います。
「発信する」ことが大切
──先ほど、長時間労働や時短勤務など「労働時間」の話が出ました。産休や育休なども含め、実働時間が短くなるとキャリアアップの妨げになるという話もよく聞きます。これについてどう思われますか。天田 私は9年ほど前から時短勤務を利用しています。最初はフルタイムの人に比べて評価が低かったのですが、それはおかしいと思いました。むしろ「限られた時間のなかで仕事をして成果を出しているのだから、どちらかというとプラスになってもいいぐらいだ」と。「これはおかしい」とずっと訴え続けて、4、5年前にようやく制度を変えていただき、業績で評価してもらえるようになりました。
──天田さんのおかげで、社内の評価制度が変わったということですね。
天田 そうでないと、私にも生活があるので不満が溜まります。もちろん文句を言っているだけではだめなので、その分やるべきことは人一倍働きました。意見が通る会社だからよかったというのはありますが、やはり「発信する」ことが大事だと思います。結果がついてくるかどうかわからないですけど、前へ進む一歩になる。今後もこういうことは続けていきたいです。
小曽戸 時短勤務は、時間的拘束がある分、仕事をどれだけ凝縮してやるかという気持ちの強い人が多い印象です。フルタイムでで働くかどうかに関係なく、結果でしっかり評価されるのは非常にいいことだと思います。
谷 でも、フルタイムと同じかそれ以上の成果をあげていたとしても、給料をフルタイムと同じにするというところまでは難しいのでしょうか。
天田 時間の短縮分については給与から減りますが、これはあたりまえですよね。ただ、評価は「S」をもらえたりするので、そうしたらその分給料はプラスになります。時短分をマイナスにしても、そこは対等になるのかなと思いますね。
小曽戸 誰かが率先してやっていくことで、会社も柔軟に対応してくれるのですね。
天田 最初は苦労しました。入社して15年になりますが、入社当初は目指したいと思う先輩があまり見当たらなくて。狩野さんがおっしゃったように、身近に目指す先輩がいると「私も同じようにいきたいな」と思える。それはいい意味で恵まれている環境だと思うので、先輩たちがパイオニアとして開拓してきた道を、後輩たちも続いていくことが大事かなと思います。偉そうなことはいえないですけど(笑)。
──今、何か気になることはありますか。
小曽戸 先ほどIT業界の労働環境についての話をさせていただきましたが、状況が悪かったのは一昔前の話なのでしょうか。実は改善されてきているのに、悪いイメージが払しょくされていないだけなのでしょうか。
柏原 IT業界というよりSIerだと思いますが、エンジニアなどは納期に追われると夜中までやらざるを得ないというのは今でも聞きます。なので職種やプロジェクトによるのではないかと。
小曽戸 では業界にかかわらず、スポットで忙しいときは、というような感覚なんですかね。
柏原 昔はそういうのがひどかったんでしょうね。
谷 机の近くに段ボールを敷いて寝たりとか聞いたことがあります。
天田 泊まったりというのは実際あります。私もやっていました。そういうことが多いのはやはりIT業界なのかもしれないですね。ただ、今はいろいろな面で考え方が厳しくなってきたのもあって、少しずつよくなってきてるのは確かだと思います。
柏原 仕事が好きだから夜中まで寝ないでやるという人もいます。自分の意識の問題もあるのかもしれないですね。
狩野 確かに、捉え方の問題というのもありますよね。どうしても大型連休や年末にやらざるを得ないプロジェクトもありますが、それは仕方のないことですし、代わりにどこか別のタイミングで休める会社もある。
天田 それに、在宅勤務をはじめとして、新しい働き方を採り入れやすい業界なのかもしれないです。
小曽戸 扱っている製品が新しいというのもあり、制度も新しいものを採り入れているというIT企業が多いのかもしれませんね。 ページ数:1/1 キャプション:
IT業界の未来は明るい
──最後に、この座談会を振り返って感じたことなどを教えてください。狩野 目標になる人が身近にいて、環境に恵まれているということに改めて気づきました。また、休暇後復帰するためには、会社や家族のバックアップも必要ですが、それ以前に自分がどれだけ会社にとって必要な人間になっているかが大切だと思います。まだまだ駆け出しなので、自分のためにも会社のためにも必要とされる人間になれるように頑張らないといけないです。
谷 皆さんのお話をうかがいながら、将来子どもができたときに、どれだけまわりから援助を受けられるか、受けられるような環境をつくっていけるかが重要だと思いました。その時々でいろいろな選択ができるような環境をつくることで、未来をつくっていけるのではないでしょうか。皆さんが努力を重ねてそうした環境をつくってきたというお話を聞いて、自分もそうなれるよう、日々努力を積み重ねていきたいです。
亀井 皆さんのお話から、会社の体制がまだまだと実感しました。少しでも女性が働きやすくなるような環境がつくれるように働きかけていきたいです。当社では、女性のエンジニアは私が初めてだったのですが、最近は増えてきていて、来年には後輩の女性のエンジニアが二人入社する予定です。後輩に頑張っている姿を示していけたらと思います。
柏原 私は業界や会社というより、(女性に対する)男性の意識のほうが問題なのではないかと思います。管理職になる人は今でも男性が多いですし、女性がひたすら頑張っていることに対して、男性はそれがあたりまえだと思っている気がします。そうした意識を変えていく、わかってもらうことが、今の日本で変えていかなければいけない問題なのではないでしょうか。
天田 今日はいろいろな職種を経験してこられた方から、さまざまな意見を聞くことができました。これから開拓していく部分もあるでしょうけれども、いろいろな女性がいるからこそ、未来が明るい。女性はやっぱり強くて、出産を経験するとますます強くなり、ずうずうしくもなる(笑)。それを力に変えて、これからもやっていけたらと思います。
小曽戸 IT業界には残業が多く大変だという先入観がありましたが、働く環境は改善されてきているのではと感じました。長時間労働などの問題は、やはり最先端のことに取り組むITにはつきものという気もします。働く人がそれを理解して、あえて選択している部分もあるでしょうから、多少は仕方がないのかもしれません。ただ、例えば結婚、出産、病気など、何かあったときにどれだけ家族や会社が助けてくれるかによって、捉え方は変わってくるのではないでしょうか。私は今日、皆さんのお話をうかがって、女性にとってもIT業界の未来は明るいと思いました。
──ありがとうございました。
記者の眼
就活生の間でも、「IT業界は残業が多く、大変だ」という認識は残念ながら一般的だ。今回、実際に業界の最前線で働く女性の声を直接聞く機会を得て、そうした指摘がたくさん出てくるだろうと思っていた。しかし、労働環境の問題などは改善されつつあるとみている人のほうが多かった。女性にとってはむしろ、子育て期間の働き方に対しての「男性からの理解」「評価制度」など、IT業界内にとどまらない課題のほうが、キャリアの障害になっているようだ。また、会社に産休育休、時短勤務などの各種制度が備わっていたとしても、それをしっかり活用できる社風があるかが重要なポイントになる。会社に制度変更を訴えたAJSの天田さんも「最初は休みが取りにくかった」と語るが、そうした制度を利用した前例がない会社であれば、利用したいと思う側も、フルタイムで働く人たちを横目にためらってしまうケースがある。とくに男性には、そうした制度を利用する女性に対する理解が求められる。
国は「女性の活躍推進」を施策として打ち出している。女性が活躍できる職場環境づくりを制度面からも応援していこうということである。そうしたなかで、社内制度の改革やキャリアアップの成功談などがあれば、それは貴重なモデルケースになる。こうした情報を、女性側も積極的に発信していくことが重要だ。
「女性の活躍」を推進するためには、妊娠・出産などのライフイベントを経験した女性をどうサポートするかという問題を避けて通れない。IT業界といえば、長時間労働などがクローズアップされ、大変な職場なのではないかという先入観をもたれがち。果たして女性が活躍できる環境が整っているのだろうか。『週刊BCN』では、IT業界で活躍する女性6人を招き、座談会を開催した。それぞれの経験にもとづき、業界の課題や女性活用のあるべき姿などについて、大いに語り合ってもらった。
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