ITC団体の動き
ITC近畿会
会員ITCのビジネスにつなげる
近畿圏を中心にITコーディネータ(ITC)が会員になっているITC近畿会は、新たな取り組みに踏み切った。これまでは、勉強会が中心だったが、「今後は、会員のビジネスにつながる取り組みを進めていきたい」(生田勝・理事事業委員長)との考えを示す。
(左から)垣見多容氏、左川睦子氏、生田勝理事
その一つとして、2018年1月に「IT経営カンファランス 2017 in 近畿」というイベントを尼崎商工会議所で開催する。講演が中心のイベントだが、無料相談会も用意。参加者として中小企業の経営者などを対象にしているため、「会員には、商談の場として活用してほしい」(左川睦子氏)としている。
中小企業を取引先にもつ金融機関や中小企業を会員にもつ商工会議所との連携も視野に入れている。IT化の相談があれば会員が出向くという具合だ。「全国では(ITC協会が)取り組んでいるが、近畿圏でも導入したい」(生田理事)。また、「全国展開している団体や企業のIT化を受注して、会員に振り分けるのもいいのではないか」と、生協を顧客にもつ垣見多容氏は捉えている。
ITC大阪城
「入口」として活用してもらう
新保康夫 代表世話人
大阪のITCを会員にもつITC大阪城は、1か月に1回、会員同士が情報交換するワーキンググループを開催している。「会員がそれぞれビジネスの状況を発表したり、新技術を活用したソリューションづくりを話し合ったりと、会員にとってビジネスのネタになればいい」と新保康夫代表世話人は説明する。
ITC大阪城が存在する意義として、新保代表世話人は「ITC個人でビジネスを受注するのは、なかなか困難。団体に入っているという理由で、会ってくれるケースもある」。そのため、「会員には『入口』として活用してほしい」との考えを示している。
現在、会員数は6人と小規模だが、「少ない人数だからこそワーキンググループには、ほぼすべての会員が参加するし、何よりも小回りが利く」という。無理に会員を増やすことはせず、会員の質を高めていくことに力を注ぐ。
京都の動き
──京都で案件が増えている
和田壽郎 事務局長
京都でも、SIerによる連携強化が進んでいる。主要な業界団体の一つ、京都府情報産業協会は「会員企業が70社を超えた」(和田壽郎事務局長)という。これは、京都でビジネスを手がけたいと、首都圏などに本社を構えるベンダーが京都で支社や支店などを開設して、新たに会員になっていることが要因のようだ。京都府情報産業協会に入会して、京都のベンダーとのパートナーシップを組むことも視野に入れているのだろう。これは、京都でビジネス案件が増えていることのあらわれといえる。
京ナカGOZAN
強固な連携で新しい製品・サービスを創造
桂田佳代子 代表
「ゆるやかな」から「強固な」へとシフトしたSIerによる連携が京都で出てきている。7社が集まって、ゆるやかな連携で新しいソリューションを次々と提供してきた「京なかGOZAN」は、製品・サービスを拡販に向けて運営会社の設立に踏み切った。「京なか株式会社」だ。代表を務める桂田佳代子氏は、もともと京なかGOZANの参加企業で勤務していたが、「京なかGOZANの製品・サービスをもっと広めたい」と京なかの責任者になった。
現在、京なかで提供の拡大に力を入れているサービスは「KoIサービス」で発信器とスマートフォンを使って、京都府の店舗と外国人観光客を結びつけるものだ。指認証決済や電動サイクルシェア、インバウンド向けネットショップ、顧客カルテ管理システムなど、関連サービスも用意。桂田代表は、「地場に密着したサービスをワンストップで提供していく」との方針を示している。
ものレボ
工場の自動化・情報化を支援
細井雄太 代表取締役
ものづくり革命を目指しているスタートアップがいる。2016年設立のものレボは、「生産技術×IT」をコンセプトに、工場の自動化・情報化による生産性向上を支援するサービスを開発。IoTによる設備稼働の見える化管理・改善システムだ。現在、ユーザー企業として50人未満の中小製造業を15社程度獲得している。細井雄太・代表取締役CEO生産技術者は、「生産性の向上には見える化して改善することがカギ」としている。
開発したシステムは、IoTセンサと設備稼働分析ソフトによって、設備稼働実績の自動収集による日報の作成入力業務の廃止、QC手法を使った自動分析による、設備稼働率改善の促進などを可能とする。
また、小ロットの生産工場専用スケジューラのアプリも開発。加えて、品物・小ロット品外注マッチングサイトの「ものづくりクラウド」を提供。大手メーカーと中小製造業をつなげる取り組みも進めている。
メディアインパクト
誰にも真似できないポータルサイトを構築
宮嶋健人 代表取締役
ウェブ制作会社のメディアインパクトは、「ウェブでニーズとニーズをつなぐ」(宮嶋健人代表取締役)ことをコンセプトに、誰にも真似できないポータルサイトをつくることに力を注いでいる。例えば、京都府や京都市、京都商工会議所などから受注したゲームやまんが関連の「KYOTO CMEXポータルサイト」では、「アクセスを10倍にすることを目標にオリジナル4コマなど、このサイトにこなければ見ることができないコンテンツを充実させた」という。
獲得した案件は、すべてオーダーメイドで制作。時間と労力がかかるということで、昨年度(2017年6月期)は赤字になったものの、「オーダーメイドで制作したウェブサイトが20以上に達したため、今後は横展開して案件を獲得していく」方針だ。