Q4 2018年の法人IT市場を象徴するキーワードは?
17年に続き「AI」がトップ
全てのトレンドが市場の成長を導く
トレンドの移り変わりが激しいIT業界。昨年は実用化の期待が高まってきた「量子コンピューター」が話題になった。目下のビジネスでITベンダーが注目している技術は何なのか。18年のIT市場を象徴するキーワードについて、記述による自由回答で対応した。この中で、共通して多かったものを表にまとめた。
結果は、昨年に続き「AI」が1位に(11社)。2位が「働き方改革」(10社)、3位が「IoT」と「クラウド」(9社)、4位が「RPA」(8社)、5位が「デジタルトランスフォーメーション」(6社)と続いた。
トップのAIは、IoTやRPAとともにキーワードに挙げるベンダーが多かった。これらの技術は企業のデジタル化を推進する上で欠かせない技術として、注力しているベンダーが多く、「AIやIoTなど新技術を使って仕組みそのものを変えていく流れは急速に進んでいくだろう」と、あるベンダーは語る。IoTは採算化が課題とされてきたが、「案件は次々に出てきている」「19年は実ビジネス化が進むだろう」とする声もあった。
また、17年頃から働き方改革に有効なテクノロジーの一つとして注目されているRPAは昨年、企業・自治体で導入が進み、普及が一段と加速した。「19年にはAIとRPAを組み合わせたソリューションが出てくるのではないか」と、RPAビジネスを手掛けるベンダーは話す。
Q5 2019年 注目のキーワードは?
「AI」が最も市場をにぎわせる?
「データ」への関心が高まる
18年は、AIやIoTなどのホットなキーワードがそれぞれ密接に関わり合い、市場の成長をけん引するトレンドとして存在感を高めてきた。それを踏まえつつ19年に注目のキーワードについても各ベンダーに聞いてみた。
トップは「AI」(「AI活用」を含む)で、回答数は19社に増加した。2位は「デジタル/デジタルトランスフォーメーション」(9社)、3位は「IoT」(8社)、4位は「RPA」、5位は「働き方改革」と「クラウド」という結果に。18年と比べて順位に変動はあるもののキーワード自体に大きな変化はなく、引き続きこれらが法人向けIT市場をにぎわせることになりそうだ。
回答結果の中で特筆すべき点は、18年に比べ、「データ分析」や「データ・プラットフォーム」など、「データ」という言葉を挙げるベンダーが増えたことだ。近年、ビジネスの価値の源泉を顧客情報などのデータに求める傾向にあり、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)などの米巨大企業は、大量のデータを保有することで「プラットフォーマー」とも呼ばれる所以になっている。顧客のデータ活用へのニーズを支援することにITベンダーも注目し、商機を見いだしているようだ。
Q6 海外ビジネスの状況は?
ビジネスの「現状維持」が多数
商機の中心は「ASEAN」に
今回調査したITベンダー61社の中では半数以上が海外ビジネスを手掛けている。これらの企業を対象に、海外ビジネスの現状について聞いた。
まず、海外ビジネスの売上比率については、「0~4%」の企業が69%と、全体の約7割を占めた。次いで、「5~9%」が8%、「10~14%」が8%、「15~19%」は0%で、「20%以上」が14%だった。海外ビジネスの進捗状況については、「計画以上の実績あり。19年(19年度)も積極投資する」が28%、「計画通りで現状のまま。(追加投資はせず)展開する」が56%、「実績はないが積極投資する」が14%となった。
これらの結果は昨年実施した調査と大きく変わっておらず、多くのベンダーで海外ビジネスが主力といえるまでは育っていない一方、一部ベンダーは海外ですでに一定の成果を上げており、売上拡大に向けて継続して積極投資していく姿勢をみせている。
海外ビジネスの重点地域については、「ASEAN」が47%と最多。続いて中国を中心とした「東アジア」が26%、「米国」が11%、「欧州」が8%、「その他」が8%となった。ASEANの中では、タイと答えた企業が最も多く、シンガポール、マレーシア、インドネシアが続き、ミャンマー、ベトナム、フィリピンも挙がった。その他の国では、日系企業の新たな進出先として注目が高まっているインド、カナダ、オーストラリアなどだった。
また、中国市場については、外資系企業に対する規制が多い、政治リスクが大きいなどの理由から、積極的な投資には慎重な見方を示す企業が依然として多い。ただし、進展が目覚ましい中国のITに関心を寄せる企業が多いことも印象的だった。