アークサーブ ジャパン
今夏、クラウドデータセンターを開設
2018年度(19年3月期)はアプライアンス製品の大容量モデルが好評だったアークサーブ ジャパン。政府関係の大型案件があり、大容量モデルが売れたこと、ラインアップとして大容量モデルを用意したことで大型案件も受注できたことが大きな要因となった。
末吉聡子
部長
バックアップデータの活用や自動化へつなげていくために、まずは足場であるデータを守ることに今は注力しているという。チャネルマーケティングの末吉聡子部長は「失うとお客様の業務が止まってしまうような重要なデータをしっかりと守ることがバックアップベンダーに求められていること」と話す。
そのために同社が積極的に投資を行っている分野がクラウドだ。これはバックアップをパブリッククラウドに保管するための連携ではなく、自社でデータセンターを整備し、顧客のバックアップデータを預かる計画だ。国内でも今夏、データセンターを開設し、オンプレミスのバックアップデータをクラウドに複製するサービス「Arcserve UDP Cloud Hybrid」を提供する予定。ファイルサーバーにエージェントを入れることで、ファイルサーバーのデータを全て圧縮し、同社のデータセンターに送ることができる。
また末吉部長は「クラウド分野に参入するのは後発になる。そのためコストメリットを出していきたい。例えばソフトウェアですでにアークサーブと契約しているお客様が新たにクラウドにバックアップデータを置く場合、パブリッククラウドを利用するよりもコストメリットが出る料金にする予定」と話す。
Arcserve UDP Cloud Hybridのリリース後は、問い合わせの増加が予想される。そのため国内のサポートセンターのシステムを刷新し、適正なサービス保証(SLA)で対応できるよう、準備を整えている。この分野にも投資を行い「連絡をもらってから2時間以内に折り返すことができるSLA付きのサポートサービスを提供していきたい」と末吉部長は語る。
アクロニス・ジャパン
セキュリティ機能を組み込む
arcserveと同様、クラウドに注力しているのがアクロニスだ。オンプレミス、クラウドのワークロードのバックアップデータをAcronis Cloud Storageに送り、一元管理できるサービスを提供している。バックアップデータをパブリッククラウドに送るクラウドバックアップと似ている。嘉規邦伸代表取締役は「災害対策としてバックアップデータをクラウドに置きたいという企業は増えている。ただ、バックアップデータはクラウド上で守られても、バックアップデータを管理するサーバーがオンプレミス上に置かれていることが多く、管理サーバーが壊れた場合、クラウド上のバックアップデータを復元できなくなる」と警鐘を鳴らす。こうした危険を回避するためアクロニスは、管理機能もクラウド上に置き、圧縮したデータをクラウド上で解凍し、オペレーションを復旧できるようにした。
嘉規邦伸
代表取締役
災害だけではなく、ランサムウェアからバックアップデータを守る仕組みも最近追加した。それが「サイバープロテクション」だ。ランサムウェア被害からの復旧としてバックアップデータを利用するケースは多いが、最近のランサムウェアはまずバックアップデータを壊す。つまり、被害を受けた時にはバックアップデータから復元することもできなくなっているというわけだ。アクロニスはバックアップデータを守るため、バックアップソリューションにセキュリティ機能を入れた。
嘉規代表取締役は「入口のところはこれまで通り、セキュリティベンダーのセキュリティ機能で守る。しかし100%は守りきれないので、バックアップデータを守るための強固なセキュリティを用意する」と説明する。アクロニスはこの分野の投資を積極的に行っている。米国マイアミで10月に開催予定のプライベートイベントで、セキュリティベンダーの技術を組み込んだトータルプロテクトとして発表する予定だ。
ベリタステクノロジーズ
どこよりも早く新テクノロジーに対応
グローバル、国内ともバックアップ市場で高いシェアを持つベリタステクノロジーズ。国内では富士通、NEC、日立などの大手ベンダーとOEMパートナー契約を結び、高いシェアをキープしている。その上で2018年は「大きく成長した」と大江克哉代表執行役員社長は語る。貢献したのがアプライアンス製品だ。
(左から)大江克哉代表執行役員社長、高井隆太常務執行役員
国内市場ではOEMパートナーとの結びつきが強く、そのため「アプライアンス製品のスタートが遅れた」(大江社長)という。そこで近年、アプライアンス製品の販売を強化している。高井隆太・テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員は、「オンプレミス、仮想化、クラウドと複雑化している中、シンプルに管理できるアプライアンス製品が求められている。また企業がもつデータ容量が大きくなっているので、アプライアンス製品もより大容量モデルが増え、複数台導入するケースも増えている。1案件当たりの金額が増えている」と説明する。
注力している投資分野について、大江社長は「新しいプラットフォーム、テクノロジーへの対応」と話す。シェアが高いベリタスは顧客数が多い。その中には新しいプラットフォーム、テクノロジーをいち早く導入する企業が少なくない。そのために「業界で先駆けて対応することが重要」だと大江社長は説明する。実際、今年2月にはコンテナのデータ保護に世界で初めて対応した。今後もオープンソースアプリケーションの対応など、広範囲のサポートができるよう投資を続けていくという。
データ活用が当たり前の新興バックアップベンダー
2010年前後から登場してきた新興バックアップベンダーは、誕生前からデータの価値が高まること、クラウド化が進むことが見えていた。クラウドネイティブのアーキテクチャーをいち早く取り入れ、データ活用の道へ進んできた。次世代型バックアップと言われる彼らのソリューションの強みとは。
ルーブリック・ジャパン
顧客に必要な機能を迅速に提供
米国で2014年に設立したルーブリックは、クラウドでのバックアップデータ運用に特化している。日本法人は16年12月に設立し、販売パートナー経由でのビジネスが軌道に乗り始めたところだ。
(左から)神近孝之・SEリード、佐藤昭知・マーケティング・マネージャー
直近ではディストリビューター、リセラー向けのトレーニングを強化し、売り手側の理解を高め、それが功を奏して売上高は前年比2倍以上に成長しているという。特にそれまではハイタッチ提案が中心だったが、販売パートナーの提案数、案件数が増加。販売パートナー経由のビジネスが加速し始めている。今後もリセラーまわりを強化し、他社との差別化ポイントを理解してもらうための全国キャラバンを実施していく。
今後、強化していくのは、SaaSの統合管理ツール「Rubrik Polaris」だ。オンプレミス、クラウドのハイブリッドクラウド全体のデータを管理できるツールで、今後はシンプルな運用・管理するための機能を追加していく。管理ツールにAIやマシンラーニングを導入。いつもより大容量のデータが書き込まれた、もしくは削除された、などの異常な振る舞いを検知し、管理者にアラートを上げる機能も備える。管理者が違和感を察知した場合、異常が起こる前のデータを使ってリストアする。
神近孝之・SEリードは「これからはバックアップデータの活用の幅が広がっていく。お客様が求める機能をいち早く提供できるよう、アジャイルで機能を開発し、どんどん追加していく」と語った。
アクティフィオジャパン
最新の本番データを仮想化して活用
2009年に米国で設立したアクティフィオは、12年に日本法人を設立した。国内市場の売上高は2ケタ成長中で、国内の顧客数は200社に上る。
アクティフィオがユニークな点は、本番データをコピーしたマスターコピーデータを仮想化することで、容量や管理・運用の負担を増やすことなくテスト用や開発環境に活用できる点だ。
従来は、テスト用・開発環境用にデータを用途別にコピーして使ってきた。小川高寛・事業戦略兼ビジネス開発本部長は「必要な分だけコピーを取ると、コピーの時間がかかり、ストレージの容量も圧迫する。またウイルスやランサムウェアなどの脅威から守るべき対象が増え、管理者の手間が増える」と課題を挙げた。それに対してアクティフィオは一つのマスターコピーデータから仮想的なコピーデータを作成することで、目的別に同時並行でデータを使うことができる。また変更内容は差分データとしてマスターコピーデータとは分けて保管する。
ワークロードのバックアップも2回目以降は差分データだけを記録するのでバックアップ時間を短縮できる。差分データは15分から1時間ごとに記録するので、開発用に最新で15分前の本番データを利用することができる。すでにバックアップデータをテストや開発などに活用した事例が上がってきているという。
今後は対応プラットフォームの幅を広げていき、次はコンテナのネイティブ対応に取り組んでいる。
コヒシティ・ジャパン
今年日本に誕生したばかりのベンチャー
2013年に設立したコヒシティは、15年に初の製品を出荷した新興ベンダーだ。日本法人は18年11月に設立したが、その後、ソフトバンクからの投資を受け、19年3月に両社の合弁会社コヒシティ・ジャパンとして生まれ変わった。
(左から)江尾浩昌代表取締役、東 一欣・シニアSEマネージャー
江尾浩昌・代表取締役は企業が保有するデータについて「プライマリとセカンダリの二つがあり、そのうち80%がセカンダリデータだ」という。セカンダリデータには、ファイル共有やバックアップ、アーカイブ、テスト/開発用データなどが含まれており、これらの膨大なデータを管理、統合するために一元的なデータプラットドームを提供している。
さらに統合したデータを活用するためのアプリケーションを提供する「Cohesity Marketplace」を用意した。コヒシティのプラットフォームで動かせるアプリケーションを集め、顧客は必要なアプリケーションを「スマートフォンのアプリケーションをダウンロードするように」(江尾代表取締役)機能追加して利用できる。
今後は、マーケットプレースで提供するアプリケーションの開発などに注力する。まずは最新のNoSQLワークロードの保護を実現するため、Imanis Dataを買収。Imanis Dataを利用することで、「コンプライアンス、eDiscovery、セキュリティに関するビジネスクリティカルな目標をクリアすることができる」という。引き続き、買収やパートナーとのエコシステムによりマーケットプレースから提供するアプリケーションを追加し、データ活用をしたい企業の利便性を高めていく。