――2021年の業績と市場動向の振り返りを。
20年もそうだったが、当社の業績自体はコロナ禍のマイナス影響を受けていない。むしろ在宅勤務や電子契約などデジタル化が進み、仕事が忙しくなるという状況が継続している。
代表取締役社長
佐藤秀哉
運輸業や旅行業、アパレルなど当社の顧客でも非常に打撃を受けている業種はあるが、工夫をしながら立ち上がろうとしつつある。その工夫には必ずITを使うため、21年は彼らのIT投資が徐々に回復してきた。
――コロナ禍がクラウドの普及を加速させたという論調についてはどう見るか。
コロナ禍があってもなくても、クラウドは既に普及期に入っていた。AWSやAzureなどのIaaSレイヤーは、分母が大きくなっても同じ成長率で伸び続けている。コロナは関係なく、まさにクラウドの本格的な普及期が来たというのが実感だ。
――22年2月期の上期決算は増収減益となった。
20年3月から5月の3カ月間で大型プロジェクトの最後の花火が上がり、非常に大きなビジネスになった。売り上げにしても利益にしてもこれを上回るのはなかなかハードルが高かったが、第2四半期(21年6~8月)は四半期単位で過去最高の売り上げを記録した。第3四半期、第4四半期はそれを上回る売り上げを計画しており、順調に成長していると認識している。ただ、20年度の大型プロジェクトは当社独自製品の販売・導入を含むもので利益率も非常に高かったので、それを上期だけで上回るのは難しかった。通期計画も増収減益だが、なんとか下期で利益を高めて増収増益で着地したいという思いはある。
「SIerの逆襲」の起点に
――新たなグループ企業も続々と生まれている。
連結対象は12社になった。セールスフォースを中心としつつ、インフラ側も含めてマルチクラウドにワンストップで対応できる体制ができてきた。21年につくったテラスカイテクノロジーズはいわゆるリスキリングの会社だが、セールスフォースにも出資してもらい、未経験者や第2新卒を採用してクラウドエンジニアに育成している。すでに60人ほど採用しており、22年には200人、5年で1000人の育成を視野に入れる。
――22年の目標を。
クラウドの先頭に立っているからこそ、どこを走るかというライン取りを主導でき、お客様からも最初に相談を受ける存在でいられる。ハイペースで拡大を続けて、既存の大手SIerとビジネス規模でも肩を並べたい。SIerの仕事の価値が市場に正しく理解されていないことに課題も感じている。楽しく価値ある仕事であることを広く理解してもらい、「SIerの逆襲」の起点ともしたい。