――直近の市場動向について。
2021年はコロナ禍対応のためのIT投資が膨らんだが、本質的な成長のための投資はまだ先になる印象だ。
代表取締役社長
大石 良
――21年1月に東証一部に市場変更した。
上場を意図した時から姿勢は変わっておらず、エンタープライズIT市場で活動するクラウドインテグレーターのビジネスには会社としての信用や信頼度が重要。そこをさらに向上させることができた。お客様からの安心感や受注につながっているのはもちろんだが、何より各社が苦労している採用面でいい影響があった。最先端のことをやっている会社でありつつ経営基盤もアップグレードしたことで、エンジニアや営業パーソンから選ばれやすい会社になったと自負している。
――SIerの中にはリモートになって生産性が下がったり、社員教育がスムーズにいかなかったりと課題を指摘する声もある。
そんな言い訳が通用するなら経営者としては楽だろう。接触に制限が必要な状況下で、当社はリモートの世界でやれることをやろうと振り切っている。全社員にリモートワーク手当を出して在宅勤務環境の設備投資をしてもらい、リモートならではのコミュニケーションの在り方を模索した。新人のEX(従業員体験)も向上しているし、バーチャルの中で一体感が生まれた実感がある。
ユーザーのIT人材再配置を補完
――22年以降のIT投資をどう見るか。
活発に動きそうな業界の筆頭は金融。フィンテックベンチャーの活躍もありデジタルディスラプション前夜の雰囲気がある。デジタル庁が発足した公共分野や、流通・小売りもドラスティックな転換の兆しがある。
半導体不足でコンピューターが買えないからクラウドを使うという案件が21年秋口から出始めた。クラウド需要はより高まる。
レガシーマイグレーションのトレンドはずっと続いていて、投資も継続されるだろう。大きな視点では、IT人材不足が確定的な状況下でリソースをより戦略的な仕事に再配分するための取り組みと言える。内製化も同じで、顧客接点となるアプリケーション寄りの領域に人材を重点配置できるメリットがある。
――サーバーワークスとしての方針を。
クラウドマネージドサービスはユーザーのリソース再配分を補完する。当社のようなクラウドインテグレーターへの期待は年々大きくなっていると感じており、そこにしっかり応えていく。
DXの取り組みが本格化していくのは間違いない。そのためにやらなければならないことは二つに集約できる。CX(顧客体験)を徹底的によくすることと、EXを高めること。いずれもクラウド活用がキーになる。