──2021年の振り返りを。
今のところ新型コロナ禍の影響はほとんどない。売上高は前年を上回るペースで順調に推移している。とくにお客様のデジタルトランスフォーメーションをサポートするサービスとして、21年末にブランドを刷新した「スマート大臣」(旧大臣スマートサービス)の引き合いが増えている。クラウドサービスも伸びており、ビジネス全体に占めるクラウドの割合は前年と比べると20%ほど上がっている。総じていい方向だ。
代表取締役社長
原田明治
──スマート大臣にブランドを刷新した狙いは。
証憑(しょうひょう)保管や経費精算、フィンテック、年調申告、打刻、明細配信、マイナンバーの各サービスを中心に、今後リリースする関連のサービスも新しいブランドで統一し、トータルで価値を提供する姿勢を示すことがブランド刷新の狙いだ。
──顧客からはどのようなニーズがあるか。
効率を上げて、事務処理のスピードを速くしたいとの要望が高まっている。それと「2025年の崖」をキーワードに、レガシーシステムを一新したいという話も多くなっている。中堅・大企業向けERP「大臣エンタープライズ」に加え、大臣シリーズの新しいクラウドモデルとして、21年にリリースした中小零細企業向けの「大臣AXクラウド」を中心に、幅広いニーズに対応できるようになっている。
中長期の成長を展望
──22年の注力領域は。
スマート大臣は右肩上がりが続いているので、22年はサービスの拡充に注力する方針だ。まずは社会保険絡みの情報に焦点を当てた労務系サービスのリリースを計画している。顧客層を見ると、既存顧客だけでなく、新規顧客も増えているので、スマート大臣を入り口に、われわれが得意とする会計や販売管理への展開も考えている。
ほかの製品についても力を入れていく。例えば、好調なクラウドについては、大臣AXクラウドで、会計のサービスをリリースした後、開発を進めている給与のサービスもリリースできるようにしたい。大臣エンタープライズについては、バージョン2のリリースを予定している。
──今後のビジネスに対する意気込みを。
業務ソフトウェア市場の需要は旺盛だと感じている。中長期の成長を展望できる製品やサービスが揃いつつあり、社内の雰囲気は明るいので、先行きは楽しみだ。22年は製品やサービスへの投資と合わせて、人員増強を含めた体制の整備にも取り組む。また、今の福岡本社ビルの近くの土地の買収が完了しており、新社屋の建設を進める。株式の上場についても引き続き準備していく。