――2022年のビジネスはどのように推移したか。
今までの売りたいものを売るという方向から、お客様に寄り添った提案をしていくとの宣言を1月に行った。労働分配率や待遇に加え、職場環境の部分の見直しも進めた。少しずつ変わり始めている状況で、苦しかった前年に比べると前進できた年だった。
大塚商会
代表取締役社長
大塚裕司
――ハードウェアの品不足の影響は。
PCもサーバーもネットワーク系の製品も、年初の段階では品不足が激しかった。メーカーによってはまだばらつきがあり、予断を許さない状況ではあるものの、PCなど製品によっては落ち着いており、一頃に比べるとだいぶ安定するようになった。
――主力商材である複写機の状況はどうか。
複写機の供給も不安定だった。当社では、支店の売り上げに占める複写機の割合は大きく、厳しい状況となっていたが、インターネット回線の見直しを提案したり、クラウドサービスなどを売ったりするかたちで山場を乗り越えることができた。得意とする商材以外にもニーズがあることがはっきりと見えており、お客様に寄り添うという考え方が徐々に浸透している。
――コンセプトとして掲げる「オフィスまるごと」で、主要な商材を11の大分類に再整理した。狙いは。
今までの分類では、新しいニーズと古いニーズが同じ区分に入っている状況が見えてきたため、集計の仕方を変えることにした。ニーズをより把握しやすくすることが狙いで、エンドユーザーから見ると何も変わらない。営業の現場でエンドユーザーのニーズを意識するようになってきたのは、社員の気持ちがだいぶ変わってきていることの表れだとみている。
AI活用は人への教育に注力
――力を入れているAI活用の状況と今後の計画は。
AIが関係した数字がなかったら、売り上げの積み上げはできなかった。今は訪問予定がない営業担当にアドバイスするためにAIを活用しているが、トップセールスを実現している社員にはAIは関与していない状況だ。営業成績が上位にいる社員への情報提供を22年夏から始めており、これが役立つという感触を持ってもらえれば、社内での水平展開が進むだろう。AIに関して大きな意味での投資はだいたい済んでいるので、これからは利用する側の人の教育に力を入れる。
――23年に注力する商材や取り組みは。
10月のインボイス制度や、改正電子帳簿保存法への対応でやらなければならないことはあるし、それらに関係するネットワークや回線の部分を、しっかり押さえたいとの思いもある。最終的に日本の中小企業のデジタル化が進み、各企業が少しでも元気になるように、幅広い商材でしっかりとお手伝いしていきたい。