――2022年の振り返りを。
日本法人が創立30周年を迎えたこともあり、これまでの集大成といえる年だった。国内のDXが加速する中で、売上高、利益面も堅調に推移した。
シスコシステムズ
代表執行役員社長
中川いち朗
変化としては、顧客層の拡大を挙げる。これまでは、大手企業の案件が目立っていたが、22年はパートナーの支援もありSMB(中堅・中小企業)の顧客数が大幅に増加した。マネージドサービスの提供などSMBのニーズに沿った製品をラインアップできているのも、要因の一つと考えている。
また、官公庁や教育、病院などでも当社製品の利用が拡大している。大手企業の案件はもちろんだが、今後もSMBや公共といった分野を伸ばしていきたい。
――好調な商材は。
グローバルでもセキュリティは順調に成長しているが、国内では、さらにその傾向が強い。セキュリティの成長率は日本法人がシスコ全体でトップとなっている。
――22年度(21年8月~22年7月)から開始した3カ年の中期経営計画「Project Moonshot」の進捗は。
企業と社会のデジタル化、パートナーとのエコシステムの強化、カスタマーエクスペリエンス(CX)向上を目指すリカーリングサービスへのシフトなどに取り組んでいる。各エリアで戦略を進めてきたが、その歯車がかみ合い、うまく回り始めているといった状況だ。
「エコシステムパートナープログラム」の利用を促進
――23年度の重点戦略として「やわらかいインフラストラクチャ」を掲げている。
企業の既存インフラをクラウドベースの柔軟に変化できるインフラに変えていかなければならない時期に差し掛かっていると思っている。お客様と中長期的な計画を立て、当社の豊富な製品ポートフォリオを駆使して実現させたい。
――パートナーにはどういった施策を展開するのか。
これまでもトレーニングをはじめとしたパートナー向けの施策を充実させてきたが、今後も継続していく。加えて、22年7月に発表した「エコシステムパートナープログラム」の利用を促進するなどして、パートナーのトランスフォーメーションを支援する。
――今後の抱負を。
Project Moonshotは市場の変化に合わせて柔軟に見直しを行っていく。社内もハイブリッドワークを実現し、生産性を高めることができているが、より社員のコミュニケーションやコラボレーションを充実させられる環境に変化させたい。
経済状況をはじめさまざまな変動があると思うが、そこに一喜一憂せず、お客様に寄り添ってDXを支援していく。