Special Feature
グーグル・クラウドのパートナー戦略、伸長する間接販売、プログラム刷新でさらなる成長へ
2023/03/13 09:00
週刊BCN 2023年03月13日vol.1960掲載
米Google(グーグル)の企業向けクラウド事業を国内で展開するグーグル・クラウド・ジャパンは、ビジネス展開において「パートナーファースト」を掲げる。それは単なるスローガンではなく、2022年には3年前と比較して国内のパートナー数が15倍以上、パートナーが創出する案件金額が7倍以上となっているという。なぜパートナーの拡大が実現したのか。そして今後、国内のDXがますます加速していくと考えられる中、パートナーとともにどのようなエコシステムを形成していこうとしているのか。
(取材・文/大向琴音)
平手智行 代表
IaaS/PaaSの「Google Cloud Platform(GCP)」やビジネス向けクラウドツールの「Google Workspace(Workspace)」などを提供する同社は、「パートナーファースト」を軸に取り組んできたと強調する。グーグル・クラウド自身はSI部隊を持たず、ユーザー企業に対するこれら製品の導入については、パートナーがその役割を担っているからだ。23年度のパートナー事業の戦略的ゴールは「より効果的で、よりスムーズなDXの提供」、そして「顧客満足度のさらなる向上」としている。
今年7月には、パートナープログラムの刷新を予定している。その狙いについて、パートナー事業本部の石積尚幸・上級執行役員は、「高いスキルを持ったパートナーを通して、顧客が本当に実現したいことを届けることと、高いスキルを持ったパートナーを顧客にどう紹介するかという2点に注力する」ことだとし、「顧客に対して、パートナーと共に高いバリューを届けるために、パートナー自身に高いスキルを付けてもらう。そして顧客には、価格ではなくパートナーのスキルベースで選んでもらいたい」と説明する。
石積尚幸 上級執行役員
パートナープログラムのリニューアルにおいて最も大きなポイントは、同社製品全般について一本だったプログラムを、GCPとWorkspaceで別のパートナープログラムに刷新する点だ。ITインフラであるGCPと、「Microsoft 365」のライバルとなる生産性アプリケーションのWorkspaceでは、パートナーの事業形態は大きく異なる。取り扱う商材に応じて、よりパートナーのビジネスに密着したプログラムとなるように再編する。
これに関連して、パートナーの検索機能「Partner Directory」では、パートナーがどの分野のスペシャライゼーション(第三者組織が製品知識やデリバリー能力を評価し、発行するバッジ)を持つかを確認できる。「(パートナーを検索して)ヒットすれば、そこにコンタクトしていただければいいし、ヒットしなければ問い合わせしていただいて、私たちがサポートするいうかたちを取ることができればいい」(石積上級執行役員)。
パートナー網が充実したといっても、ユーザー企業から見てどのパートナーにコンタクトを取れば自社の悩みごとを解決してくれるかがわかりにくくなっては本末転倒だ。ユーザーとパートナーの適切なマッチングを進めていくこともグーグル・クラウドの注力課題だ。
また、従来はパートナーの評価基準として「認定資格数」を基準にしていたが、刷新後は「認定資格者数」が基準となる。資格数での評価では、資格保有者が特定のエンジニアに限られていても、その人材が資格を多数保有していれば評価された。しかし、一人でいくつもの資格を持っていても、関わることのできるプロジェクト数には限界がある。そこで、資格の種類が少なくても資格の保有者が多いほうが評価されるかたちとすることで、パートナーに所属する資格保有者数を増やしていく。
石積上級執行役員は「将来的にはMarketplaceに登録されているすべての商材について、パートナーが自社のソリューションと合わせて顧客に展開できるようになる」とし、「グローバルのISV商材から始めるが、日本のパートナーに対しても順次展開していきパートナーと共に、日本発の商材を世界に売っていきたい」と話す。
「顧客はAWSのエキスパートと話したいのではなく、クラウドのエキスパートと話したい。そのため、グーグル・クラウドとAWSの両方の知識を持っているパートナーは非常に評価されている」。石積上級執行役員はこのような需要に応えられる人材を「クラウド二刀流」と呼び、二刀流エンジニアが増えることがパートナーの顧客ニーズを満たし、グーグル・クラウドの成長にもつながるとの見方を示す。
一方、グーグル・クラウド専業のベンダーはAWSのパートナーとは違うレベルでの貢献を目指していることで、「いい意味での競争が生まれている」。AWSのパートナーはグーグル・クラウドの認定資格者を増やしており、グーグル・クラウド専業のパートナーはより深くグーグル・クラウドの良いサービスの提供を目指すという循環ができているそうだ。
ただ、GCPのディストリビューター経由での販売といっても、付加価値の付いていないIaaSをそのままディストリビューターとそのリセラー経由で提供することは考えていない。
例えば、オンプレミスで動いていたパッケージソフトをGCP上に構築し、独自の機能を追加するターンキー(購入してすぐに使える)型のソリューションとして展開することを考えている。ISVの間ではパッケージソフトをSaaS化する動きがあるが、単にクラウドに載せるのではなく、例えば音声認識などのGCPならではの付加価値を付与して顧客に届ければ、価値向上が可能だ。国産ISVのさまざまなソリューションをパッケージ化し、中小の顧客向けに展開したいという。
一方、Workspaceについては、人数が少ない会社や組織など専門のIT人材がいないところでも生産性を向上させることができるという価値を訴求し、顧客に理解してもらいたい考えである。クラウドベースのソリューションであるWorkspaceとChromebookを合わせれば、パートナーが販売した先でのアフターサポートも容易だからだ。
グーグル・クラウド・ジャパンには「Japan Google Cloud Usergroup for Enterprise(Jagu'e'r)」というユーザー会が存在している。特徴は、ユーザーとパートナーがおよそ半々の割合で参加しているということだ。パートナー契約を結んでいない企業のエンジニアも参加しているという。具体的な目的としては、参加企業同士の交流、GCPのSI経験やノウハウのあるパートナー企業とGCP利用企業の接点の提供、グーグル・クラウド・ジャパンとGCP利用企業の製品やサービスに関する意見交換、ユーザーによる主体的研究活動などを設定している。
従来、グーグル・クラウドにはハードルが高いイメージがあったのか、国内のITベンダーとの間では十分なコミュニケーションが取れていないという課題も浮かんでいた。しかし22年には、国内のIT流通を担う日本コンピュータシステム販売店協会でグーグル・クラウドを訴求する機会もあり、そこでかけられたのは「3年前はパートナーになろうとしたがあきらめた」「やっと私たちと仕事ができるようになりましたね」という言葉だった。これは日本に根ざしたビジネスを本格展開する準備が整った一例とも言え、国内戦略はさらに加速していきそうだ。
(取材・文/大向琴音)

GCPとWorkspaceで別体系に
グーグル・クラウドが他の大手クラウドとの差異化要素としてアピールするのが、企業に対してデータ活用の道を開くという機能群だ。2月28日事業戦略発表会で、同社の平手智行代表はデータドリブン経営の重要性を訴え、「顧客のデータ利活用を促進することはもとより、そのお客様のビジネス変革を加速するということを一緒に取り組むことが、23年は大変重要になると考えている。引き続き、日本のパートナーと一緒に取り組んで、お客様に提供していきたい」とコメントしている。
IaaS/PaaSの「Google Cloud Platform(GCP)」やビジネス向けクラウドツールの「Google Workspace(Workspace)」などを提供する同社は、「パートナーファースト」を軸に取り組んできたと強調する。グーグル・クラウド自身はSI部隊を持たず、ユーザー企業に対するこれら製品の導入については、パートナーがその役割を担っているからだ。23年度のパートナー事業の戦略的ゴールは「より効果的で、よりスムーズなDXの提供」、そして「顧客満足度のさらなる向上」としている。
今年7月には、パートナープログラムの刷新を予定している。その狙いについて、パートナー事業本部の石積尚幸・上級執行役員は、「高いスキルを持ったパートナーを通して、顧客が本当に実現したいことを届けることと、高いスキルを持ったパートナーを顧客にどう紹介するかという2点に注力する」ことだとし、「顧客に対して、パートナーと共に高いバリューを届けるために、パートナー自身に高いスキルを付けてもらう。そして顧客には、価格ではなくパートナーのスキルベースで選んでもらいたい」と説明する。
パートナープログラムのリニューアルにおいて最も大きなポイントは、同社製品全般について一本だったプログラムを、GCPとWorkspaceで別のパートナープログラムに刷新する点だ。ITインフラであるGCPと、「Microsoft 365」のライバルとなる生産性アプリケーションのWorkspaceでは、パートナーの事業形態は大きく異なる。取り扱う商材に応じて、よりパートナーのビジネスに密着したプログラムとなるように再編する。
これに関連して、パートナーの検索機能「Partner Directory」では、パートナーがどの分野のスペシャライゼーション(第三者組織が製品知識やデリバリー能力を評価し、発行するバッジ)を持つかを確認できる。「(パートナーを検索して)ヒットすれば、そこにコンタクトしていただければいいし、ヒットしなければ問い合わせしていただいて、私たちがサポートするいうかたちを取ることができればいい」(石積上級執行役員)。
パートナー網が充実したといっても、ユーザー企業から見てどのパートナーにコンタクトを取れば自社の悩みごとを解決してくれるかがわかりにくくなっては本末転倒だ。ユーザーとパートナーの適切なマッチングを進めていくこともグーグル・クラウドの注力課題だ。
また、従来はパートナーの評価基準として「認定資格数」を基準にしていたが、刷新後は「認定資格者数」が基準となる。資格数での評価では、資格保有者が特定のエンジニアに限られていても、その人材が資格を多数保有していれば評価された。しかし、一人でいくつもの資格を持っていても、関わることのできるプロジェクト数には限界がある。そこで、資格の種類が少なくても資格の保有者が多いほうが評価されるかたちとすることで、パートナーに所属する資格保有者数を増やしていく。
Marketplace上の商材をパートナーが販売可能に
今回、グーグル・クラウド上で構築されたISVのアプリケーションが流通するMarketplaceにおいて、パートナー経由でもエンドユーザーに商材を提供できるように仕組みが変更される。従来のMarketplaceは、エンドユーザーが自社の課題に必要なアプリケーションを自ら選択して購入・利用するための場だったのに対し、変更後は、グーグル・クラウドのパートナーがMarketplaceに登録されているアプリケーションをエンドユーザーに販売することが可能となる。パートナーはISVとの間で販売代理店契約を結んでいない商材に関しても、自社の顧客であるエンドユーザーに対して販売できる点がポイントだ。石積上級執行役員は「将来的にはMarketplaceに登録されているすべての商材について、パートナーが自社のソリューションと合わせて顧客に展開できるようになる」とし、「グローバルのISV商材から始めるが、日本のパートナーに対しても順次展開していきパートナーと共に、日本発の商材を世界に売っていきたい」と話す。
クラウド二刀流
22年後半からは、「Amazon Web Service(AWS)」の大手のパートナーの間でも、グーグル・クラウドの認定資格者が増えているという。今まではクラウドネイティブなシステム構築に長けたパートナーや、グローバルでサービスを提供するSIerなどが、グーグル・クラウドのパートナーの中心だった。しかし、ユーザー企業の間でデータマネジメントやデータ分析の需要が増したことにより、それらの機能が充実しているグーグル・クラウドが選択肢に挙がるようになった。「顧客はAWSのエキスパートと話したいのではなく、クラウドのエキスパートと話したい。そのため、グーグル・クラウドとAWSの両方の知識を持っているパートナーは非常に評価されている」。石積上級執行役員はこのような需要に応えられる人材を「クラウド二刀流」と呼び、二刀流エンジニアが増えることがパートナーの顧客ニーズを満たし、グーグル・クラウドの成長にもつながるとの見方を示す。
一方、グーグル・クラウド専業のベンダーはAWSのパートナーとは違うレベルでの貢献を目指していることで、「いい意味での競争が生まれている」。AWSのパートナーはグーグル・クラウドの認定資格者を増やしており、グーグル・クラウド専業のパートナーはより深くグーグル・クラウドの良いサービスの提供を目指すという循環ができているそうだ。
GCPにもディストリビューターモデルを導入
また、大手のエンタープライズ企業と関係の深いSIerがパートナーとして増えているという変化も見られるという。さらに、従来はWorkspaceにフォーカスしていたディストリビューターモデル(二段階商流)を、GCPでも本格展開する構えだ。ただ、GCPのディストリビューター経由での販売といっても、付加価値の付いていないIaaSをそのままディストリビューターとそのリセラー経由で提供することは考えていない。
例えば、オンプレミスで動いていたパッケージソフトをGCP上に構築し、独自の機能を追加するターンキー(購入してすぐに使える)型のソリューションとして展開することを考えている。ISVの間ではパッケージソフトをSaaS化する動きがあるが、単にクラウドに載せるのではなく、例えば音声認識などのGCPならではの付加価値を付与して顧客に届ければ、価値向上が可能だ。国産ISVのさまざまなソリューションをパッケージ化し、中小の顧客向けに展開したいという。
一方、Workspaceについては、人数が少ない会社や組織など専門のIT人材がいないところでも生産性を向上させることができるという価値を訴求し、顧客に理解してもらいたい考えである。クラウドベースのソリューションであるWorkspaceとChromebookを合わせれば、パートナーが販売した先でのアフターサポートも容易だからだ。
グーグル・クラウド・ジャパンには「Japan Google Cloud Usergroup for Enterprise(Jagu'e'r)」というユーザー会が存在している。特徴は、ユーザーとパートナーがおよそ半々の割合で参加しているということだ。パートナー契約を結んでいない企業のエンジニアも参加しているという。具体的な目的としては、参加企業同士の交流、GCPのSI経験やノウハウのあるパートナー企業とGCP利用企業の接点の提供、グーグル・クラウド・ジャパンとGCP利用企業の製品やサービスに関する意見交換、ユーザーによる主体的研究活動などを設定している。
従来、グーグル・クラウドにはハードルが高いイメージがあったのか、国内のITベンダーとの間では十分なコミュニケーションが取れていないという課題も浮かんでいた。しかし22年には、国内のIT流通を担う日本コンピュータシステム販売店協会でグーグル・クラウドを訴求する機会もあり、そこでかけられたのは「3年前はパートナーになろうとしたがあきらめた」「やっと私たちと仕事ができるようになりましたね」という言葉だった。これは日本に根ざしたビジネスを本格展開する準備が整った一例とも言え、国内戦略はさらに加速していきそうだ。
米Google(グーグル)の企業向けクラウド事業を国内で展開するグーグル・クラウド・ジャパンは、ビジネス展開において「パートナーファースト」を掲げる。それは単なるスローガンではなく、2022年には3年前と比較して国内のパートナー数が15倍以上、パートナーが創出する案件金額が7倍以上となっているという。なぜパートナーの拡大が実現したのか。そして今後、国内のDXがますます加速していくと考えられる中、パートナーとともにどのようなエコシステムを形成していこうとしているのか。
(取材・文/大向琴音)
平手智行 代表
IaaS/PaaSの「Google Cloud Platform(GCP)」やビジネス向けクラウドツールの「Google Workspace(Workspace)」などを提供する同社は、「パートナーファースト」を軸に取り組んできたと強調する。グーグル・クラウド自身はSI部隊を持たず、ユーザー企業に対するこれら製品の導入については、パートナーがその役割を担っているからだ。23年度のパートナー事業の戦略的ゴールは「より効果的で、よりスムーズなDXの提供」、そして「顧客満足度のさらなる向上」としている。
今年7月には、パートナープログラムの刷新を予定している。その狙いについて、パートナー事業本部の石積尚幸・上級執行役員は、「高いスキルを持ったパートナーを通して、顧客が本当に実現したいことを届けることと、高いスキルを持ったパートナーを顧客にどう紹介するかという2点に注力する」ことだとし、「顧客に対して、パートナーと共に高いバリューを届けるために、パートナー自身に高いスキルを付けてもらう。そして顧客には、価格ではなくパートナーのスキルベースで選んでもらいたい」と説明する。
石積尚幸 上級執行役員
パートナープログラムのリニューアルにおいて最も大きなポイントは、同社製品全般について一本だったプログラムを、GCPとWorkspaceで別のパートナープログラムに刷新する点だ。ITインフラであるGCPと、「Microsoft 365」のライバルとなる生産性アプリケーションのWorkspaceでは、パートナーの事業形態は大きく異なる。取り扱う商材に応じて、よりパートナーのビジネスに密着したプログラムとなるように再編する。
これに関連して、パートナーの検索機能「Partner Directory」では、パートナーがどの分野のスペシャライゼーション(第三者組織が製品知識やデリバリー能力を評価し、発行するバッジ)を持つかを確認できる。「(パートナーを検索して)ヒットすれば、そこにコンタクトしていただければいいし、ヒットしなければ問い合わせしていただいて、私たちがサポートするいうかたちを取ることができればいい」(石積上級執行役員)。
パートナー網が充実したといっても、ユーザー企業から見てどのパートナーにコンタクトを取れば自社の悩みごとを解決してくれるかがわかりにくくなっては本末転倒だ。ユーザーとパートナーの適切なマッチングを進めていくこともグーグル・クラウドの注力課題だ。
また、従来はパートナーの評価基準として「認定資格数」を基準にしていたが、刷新後は「認定資格者数」が基準となる。資格数での評価では、資格保有者が特定のエンジニアに限られていても、その人材が資格を多数保有していれば評価された。しかし、一人でいくつもの資格を持っていても、関わることのできるプロジェクト数には限界がある。そこで、資格の種類が少なくても資格の保有者が多いほうが評価されるかたちとすることで、パートナーに所属する資格保有者数を増やしていく。
(取材・文/大向琴音)

GCPとWorkspaceで別体系に
グーグル・クラウドが他の大手クラウドとの差異化要素としてアピールするのが、企業に対してデータ活用の道を開くという機能群だ。2月28日事業戦略発表会で、同社の平手智行代表はデータドリブン経営の重要性を訴え、「顧客のデータ利活用を促進することはもとより、そのお客様のビジネス変革を加速するということを一緒に取り組むことが、23年は大変重要になると考えている。引き続き、日本のパートナーと一緒に取り組んで、お客様に提供していきたい」とコメントしている。
IaaS/PaaSの「Google Cloud Platform(GCP)」やビジネス向けクラウドツールの「Google Workspace(Workspace)」などを提供する同社は、「パートナーファースト」を軸に取り組んできたと強調する。グーグル・クラウド自身はSI部隊を持たず、ユーザー企業に対するこれら製品の導入については、パートナーがその役割を担っているからだ。23年度のパートナー事業の戦略的ゴールは「より効果的で、よりスムーズなDXの提供」、そして「顧客満足度のさらなる向上」としている。
今年7月には、パートナープログラムの刷新を予定している。その狙いについて、パートナー事業本部の石積尚幸・上級執行役員は、「高いスキルを持ったパートナーを通して、顧客が本当に実現したいことを届けることと、高いスキルを持ったパートナーを顧客にどう紹介するかという2点に注力する」ことだとし、「顧客に対して、パートナーと共に高いバリューを届けるために、パートナー自身に高いスキルを付けてもらう。そして顧客には、価格ではなくパートナーのスキルベースで選んでもらいたい」と説明する。
パートナープログラムのリニューアルにおいて最も大きなポイントは、同社製品全般について一本だったプログラムを、GCPとWorkspaceで別のパートナープログラムに刷新する点だ。ITインフラであるGCPと、「Microsoft 365」のライバルとなる生産性アプリケーションのWorkspaceでは、パートナーの事業形態は大きく異なる。取り扱う商材に応じて、よりパートナーのビジネスに密着したプログラムとなるように再編する。
これに関連して、パートナーの検索機能「Partner Directory」では、パートナーがどの分野のスペシャライゼーション(第三者組織が製品知識やデリバリー能力を評価し、発行するバッジ)を持つかを確認できる。「(パートナーを検索して)ヒットすれば、そこにコンタクトしていただければいいし、ヒットしなければ問い合わせしていただいて、私たちがサポートするいうかたちを取ることができればいい」(石積上級執行役員)。
パートナー網が充実したといっても、ユーザー企業から見てどのパートナーにコンタクトを取れば自社の悩みごとを解決してくれるかがわかりにくくなっては本末転倒だ。ユーザーとパートナーの適切なマッチングを進めていくこともグーグル・クラウドの注力課題だ。
また、従来はパートナーの評価基準として「認定資格数」を基準にしていたが、刷新後は「認定資格者数」が基準となる。資格数での評価では、資格保有者が特定のエンジニアに限られていても、その人材が資格を多数保有していれば評価された。しかし、一人でいくつもの資格を持っていても、関わることのできるプロジェクト数には限界がある。そこで、資格の種類が少なくても資格の保有者が多いほうが評価されるかたちとすることで、パートナーに所属する資格保有者数を増やしていく。
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- Marketplace上の商材をパートナーが販売可能に
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